バトルロワイR

漫才/イライラ大作戦

A:いやぁ、融通の利かない人にイライラすることってありますよね。

 

B:あるね。

 

C:そうでしょうか?

 

A:Cさんは経験ないですか?

 

C:無いです。心が穏やかなので。

 

B:じゃあ、Cさんに経験させてあげよう!

 

A:ええ。じゃあ、Cさんは私が指示したら警官の役をやってください。私は女神の役をやります。

 

C:わかりました。

 

B:僕は殺人鬼の役をやります。 各自効果音などが欲しいときは自分でやりましょう。

  では、よーいスタート!

 

 

B:グエッヘッヘ、あばよ!

 〈痛々しい音〉グサァ!

〈断末魔の叫び〉ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!

 〈ナレーション〉今日も山でひと仕事を終えた殺人鬼さん。仕事に使った斧が……?

  あ〜、手からすっぽ抜けて湖に〜

 〈泉のくしゃみ〉ザッパーン

 

C:いや、随分と欲張りましたね。

 

B:〈泉の咳〉キラキラキラ

 

A:あなたが落としたのは金の斧ですか?銀の斧ですか? それとも血のついた斧ですか?

 

C:ああ、配役はともかく金の斧や銀の斧の話なんですね。

 

B:金の斧です!

 

A:本当は?

 

B:銀の斧です!

 

A:本当は?

 

B:金の斧です!

 

A:あなたは最後のチャンスを逃しました。嘘つき者には斧は返しません。

 

B:これで証拠隠滅

 〈笑みが零れた証拠〉ニヤリ

 

C:何なんですかこれは

 

A:良いですか。嘘つきは泥棒の始まりです。これに懲りたら泥棒になってしまう前に正しき道に引き返しなさい。

 

C:その人すでにだいぶ外れてますよ。

 

B:はーい!

 

C:というか私が警官の役を始めるための指示はまだでしょうか。

 

B〈終了〉

 

C:終わったんですか? 何だったんですか?

 

A:今のはプロローグです。それでは本編に入りましょう。

  警官役のCさんは証拠となる凶器を探しに女神のとこまで来てください。

  血が点々と泉まで続いてるので迷わず来れますから。

 

C:わかりました。

 

B:では、よーいスタート!

 

C:ふむふむ、被害者のものと見られる血液が点々と続いているな。泉に向かっている。

  どうやら泉の中に捨てられたっぽいな。

 

B〈カエルが泉に飛び込む音〉ザッパーン

 

A:あなたが落としたのは金のカエルですか? 銀のカエルですか? それともトノサマガエルですか?

 

C:私に聞いてます?

 

A:じゃなければ、誰に聞くんですか?

 

C:えっと、私がカエルを蹴落としたわけではないです。勝手に飛び込みました。

 

A:ふむ、そうか。じゃあな。

 

C:あ、待ってください! 私はこの近くで起きた事件の凶器を捜してるんですけど、どうやらこの泉に捨てられたみたいなんです。

  心当たりはありませんか?

 

A:あるな。この泉に眠っているぞ。

 

C:ホントですか!? なら、証拠物品として回収したいんですけど。

 

A:落とした本人が正直者だった場合にしか返さんよ。

 

C:えっ!? あ、申し遅れました。私、警察のものです。

 

A:関係ないね。

 

C:そんな!? 回収させてもらえれば事件の解決に繋がるんですよ!?

 

A:女神の私には関係ないね。

 

C:あとでちゃんと捜査令状も持ってきますから! ね!?

 

A:うるさい帰れ。

 

C:こうなったら泉に潜って自力で回収するしかないですか。

 

A:泉に入ってきたものは例外なく一度掴んで引きずりあげ、落とした人の正直度を調べた後に返すかまたは泉の底に金や銀の斧で突き刺すぞ。

 

C:お願いですから、犯行の凶器と見られるものを回収させてくださいよ。

 

A:ダメだね。

 

C:なんて融通が利かないんだ。

 

B〈ナレーション〉ようやく融通が利かない人に対するイライラを知れたようだね。

 

A:どうしてもっていうなら落とした本人を連れておいで。

 

C:仕方ないな。

 

B〈終了〉

 

A:第1章も終了です。

 

C:これは融通が利かない女神でしたね。イライラはしませんでしたけども。

 

B:しなかったのかよ。ウソだろそんなバカな。

 

A:まぁ、まだ慌てるような段階ではありません。次のエピローグでイライラしてもらえれば良いんです。

 

C:次エピローグなんですね。第2章など来ないわけですか。

 

A:エピローグでは警官役のあなたが刹人鬼役のBさんを連れて泉にやってきます。

  あなたは道を忘れていないので迷わず来れますから。

 

C:でしょうね。

 

B:よーい、スタート!

 

C:お前が凶器をこの泉に投げ捨てたんだろ?

 

B:俺はやっていない!

 〈心の声〉本当はやったけどな。

 〈トビウオが泉を跳ねる音〉ピチョン

 

A:あなたが落としたのは金のトビウオですか?銀のトビウオですかなんだお前らか。

 

C:連れてきましたよ。

 

A:ならば、そこの刹人鬼に問おう。お前が落としたのはこの金の斧か?銀の斧か?

  それともお前が落としたこの血の付いた斧か?

 

C:そう、その斧ですよ。もう「お前が落とした」って言ってますよね。ください。

 

B:金の斧です!

 

A:本当は?

 

B:銀の斧です!

 

A:本当は?

 

B:金の斧です!

 

C:だから三連続で嘘をつくな!

 

A:お前は最後のチャンスを棒に振った。嘘つきなお前にはこの血の付いた斧は返さん。

 

C:それじゃ困るんですが。

 

B:イライラしているか?

 

C:読み手はどうか分かりませんが、私はしてないです。

 

A:これでもイライラしないとは大したものだ。お前には金のカエルをやろう。

 

C:この前のですか。いらないです。

 

A:ならば銀のカエルをやろう。

 

C:そっちもいらないです。

 

A:それなら私は帰るぞ。

 

C:いや、証拠物品の斧をくださいよ!

 

A:だからそれは落とした本人が正直に落としたことを言わねば返さん。

 

C:融通が利かないなぁ。おい、自白する気はあるか?

 

B:ないね。さぁ、どうだイライラしているか?

 

C:読み手はどうか知りませんが、私はイライラしてないですね。

 

B:なんでこいつはイライラしないんだ。 もう怒ったぞ。お前も俺の斧の餌食だ。

  おい、女神。あとで返すから一旦俺の斧を今すぐ返せ。

 

A:ちゃんと手順は踏め。

  あなたが落としたのはこの金の斧ですか?銀の斧ですか? それとも返り血に染まったこの斧ですか?

 

B:うるさい今すぐ返せ。これが俺の正直な気持ちだ。

 

A:あなたは正直者です。全ての斧をあげましょう。

 

B:めっちゃたくさん貰った。イライラは消えて幸せな気分になってしまった。

 

C:見てる私はどうしたら良いんですか。

 

B:警官さん、これ幸せのお裾わけです。金と銀以外のから好きな斧どうぞ。

 

C:じゃあ、お前が犯行に用いたとみられるこの斧を貰おう。

 

B:そうかそうか。 で、イライラしてるか?

 

C:してるはずがないです。ようやく職務が果たせそうで万々歳ですから。

 

A:少しはイライラしたらどうだね。ったく融通が利かないなお前は。

 

C:いや、お前が言うなよ! 一番融通が利かなかったのはお前だろうが! 頑なに渡すの渋りやがって!

  そんなやつに言われたくなくてイライラするわ!

 

AB:イライラできて良かったね。

 

B〈終了〉

 

A:無事にイライラできましたね。

 

C:イラッ寄りのイライラでしたけども。

 

AB:イラッ寄りでもイライラに違いありません。

 

BC:そんなこんなで結論として言えるのは

 

 

 

AC:人の心を傷つけるのはやめよう。

 

                     ♪エ〜シ〜


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