バトルロワイR

コント/混沌犬小屋


R:すいません、犬小くださーい。

 

犬:……

 

R:あのー、犬小くださーい。

 

 

犬:……

 

 

R:だぁ〜かぁ〜らぁ〜、犬小を

 

 

?:なんだい君は! ウチの犬にさっきからちょっかいをかけて!

  ひとの犬に何度も何度も話しかけるなんて非常識だよ!

 

R:あ、店長さんですか?

 

?:は? 店長? ウチは何のお店もやってないが?

  それにさっきから求めてる犬小って何だい? 小犬とは違うのかい?

 

R:えっ? だってそこに犬小屋って書いてあるんですが? 犬小を売っている店じゃないんですか?

 

?:どう考えたって違うだろう。 犬小ってもの自体聞いたことないし。

 

R:いや……、でも……、あっ! 魚屋では何を売ってます?

 

?:そりゃ、魚だろう。メインは。

 

R:ほら〜。

 

?:ほら〜、じゃないよ。 じゃあ、山小屋では何を売っている?

 

R:山小です。

 

?:よく堂々とそう答えられるね。 そんな売り物は無いよ。

 

R:じゃあ、床屋では何を売ってます?

 

?:髪を切るサービス。

 

R:ぐぬぅ。 じゃあ、八百屋では何を売ってます?

 

:メインは野菜だね。

 

:何であなたはそんなにひねくれてるんですか!

  床屋では床! 八百屋では八百でしょうが!

 

:いや、ひねくれてるのは君だろう。 床を買ってどうする! 八百って何がだ!

 

:あー、もう! そんなのはどうでもいいんですよ! 僕は犬小が欲しいんです! 僕の知らないものである犬小に興味があるんです!

  僕 気になります!

 

:ホント何なんだ君は! どうしようもないよ!

 

犬:ワン! ワン!

 

?:ん? どうしたんだ犬麻呂? 何か口にくわえてきたな。

 

R:まさかっ……犬小かっ!?

 

?:何っ!? そんなまさか……

 

犬:オエッ。

 

R:あ、トイレのレバー。

 

?:何故に……

 

R:あ! そのトイレのレバー! 犬小って書いてある! 犬小はあったんだ!

 

?:いや、大小って書いてあるんだよ。 トイレのレバーだからね。

 

R:こ……これが現実……

 

犬 :(バタン)

 

R:あ、死んだ。

 

?:えぇぇ!? いや違うだろう。 そんな縁起でもないこと言うんじゃないよ。

 

犬:(パカッ ピカー)

 

?:背中が割れて、中から光る何かが出てきた!?

 

R:まさかっ……犬小か!?

 

 

犬:どうも。 犬大です。 大きいので犬小ではありません。

 

R:ガッカリ……

 

犬:でも、構造がマトリョーシカなので、中に犬小がいます。

 

R:なんと! じゃあ、早速犬小とのご対面といきますか。 外の大きいやつ食べます。パクッ。

 

?:何だコイツは!? 得体の知れない光るし喋る何かを何の躊躇もなく食べやがった!?

  というか、ウチの犬麻呂が……

 

R:おー、味のガーデニングプランやー

 

犬:ワシが犬小ぢゃ。

 

?:なっ……ウチの犬麻呂が……

 

R:犬小屋の中に居たから店員さんだと思ってたけど…… あなたが犬小だったんですね!

  じゃあ、この犬小ください。

 

?:待て! 俺はこんなこと信じない! コイツは犬小なんかじゃない! ウチの可愛い犬麻呂だ!

  犬麻呂は絶対に売ることなどできない!

 

犬:……そういうことぢゃ。 この忠臣とワシの仲は堅い。 ソナタには破れぬ。

 

?:忠臣……?

 

R:そんなぁ。 犬小欲しかったのにぃ。

 

犬小:売れぬ代わりと言ってはなんじゃが、ワシがそなたに7大 犬小あるあるを伝授しよう。

 

?:なんかすげえいらないのきたー!

 

R:は……はい。

 

犬小:1つ! 喋れる!

 

?:まぁ、たしかに喋れてるけど犬小がお前だけだから共感とかするやついないからな。

 

犬小:2つ! 犬小語は一子相伝だから、犬小語を使える奴見つけたらラッキー!

 

R:はぁ

 

犬小:3つ! 犬小語の伝承者に選ばれたやつよりも、選ばれなかったやつらのほうが可愛い!

 

?:じゃあ、よほど伝承者や犬小語は気持ち悪いんだな。

 

犬小:4つ! その中でもワシが1番可愛い!

 

R:バーカ

 

犬小:5つ! そして賢い!

 

?:バーカ

 

犬小:6つ! マーマレードはパンに塗るくらいしか使えない。

 

R:犬小の枠を超えた!?

 

犬小:7つ! でもワシの主食はマーマレード!

 

?:一応、今まで一度も与えたことないからね。

 

犬小:8つ!

 

?:終われ! 何だったんだよ、まったく。

 

犬:どうぢゃった?

 

R:あー、ハハハ。

 

?:愛想笑いにも限度があるようだね。

 

R:店長さん、僕やっぱり犬小欲しくなくなりました。

 

?:だから店長ではないよ。 まぁ、欲しくなくなるのは当然だろうね。

 

R:お騒がせしてすいませんでした。 それでは、さようなら。

 

犬:うむ。 さらばぢゃ。

 

?:……

 

犬:忠臣や。 ソナタが先ほど申した『ウチの可愛い犬小だ! 犬小は絶対売ることはできない!』というセリフ。

  ワシは嬉しかったぞ。 それほど忠実にワシに従っておったとは思ワンかった。

 

?:勝手に上書きしてんじゃねえよ。 犬麻呂って言ってただろ。

 

犬:これからもよろしく頼むぞ。

 

 

?:よし、すぐにどこかに捨ててこよう。


(ジャンバト+第23回投稿作品 345KB 1/5位)

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