バトルロワイR
漫才/小娘たちの「継承」
アル子:アル子だよっ!
ハテ菜:そして私はハテ菜。
2人:二人合わせて――― まほこむです! よろしくお願します!
ハテ菜:さっそくだけどアル子! 私ね、魔法少女になりたいなって思うの。
アル子:えっ……
ハテ菜:何よ、その反応は。
アル子:いやいやいや、だってハテ菜! 魔法少女ってアナタ! いつまでそんな少女みたいなこと言ってんの?
ハテ菜:なっ……!
アル子:お互い少女なんて年じゃないし、もっと現実的な夢をもとうよ。ねっ?
ハテ菜:うっ……!
アル子:わかった? じゃあ、私と約束ね。これからはそんな幼い思想は持たずに現実的に生きますって。
ハテ菜:ええ、わかったわ。釈然としないけど承諾よ。
アル子:よかった。これで私も安心して魔法戦士アル子の座を次の世代へ継承できるなぁ。
ハテ菜:…………ん?
アル子:え? どうしたの? あ! もしかしてハテ菜も魔法戦士アル子の座を継ぎたいの?
ハテ菜:いやいやいや、違うのよ! 私には魔法少女とか幼い思想はやめて現実的に生きなさいって言ってたのに自分は何を言っているんだと思ったの!
アル子:そうかぁ。ハテ菜も魔法戦士アル子を襲名したいのかぁ。
ハテ菜:いや、話を聞きなさいよ! 何? アル子は日常の裏ではひっそりと魔法で悪者と戦っている方か何かなの?
アル子:そうだよ。 6代目ふんわりふわっこから平和を守っているのは私だよ。
ハテ菜:随分と敵さんは甘そうなお菓子みたいな名前だね。
アル子:名前で侮ってるみたいだけど6代目ふんわりふわっこは筋骨隆々としたスキンヘッドの中年男性だよ?
ハテ菜:なんでそんなやつが可愛らしい名前を継いじゃうかなぁ!
アル子:そうだ! ハテ菜が2代目魔法戦士アル子を目指すっていうなら、私とふんわりふわっこの戦いがどんなものかっていうのも知っておかないとダメだよねっ!
ハテ菜:いえ、目指すつもりはないから結構なのだけど。
アル子:じゃあ、私が6代目ふんわりふわっこをやるから、ハテ菜は私の役をやってね。
ハテ菜:退くこと知らないのね。んー、アル子の役かー。
みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
アル子:はい、もうストップストップ! 今のは?
ハテ菜:アル子の役よ。
アル子:真面目にやらないなら書類審査で落とすから! まったく。
ハテ菜:継ぐ気がないから書類審査にも出さないし的確な演技だと思うんだけどなぁ。
アル子:はい、じゃあ私の登場シーンからやるよ。真面目にやってね? 真面目にやるんだよ? はい、アクション!
ハテ菜:みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 魔法戦士アル子参上ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
アル子:だから! 真面目に! やれと! 言ってるのにぃぃぃぃぃぃぃぃ!
何なの! 私ってそんな突然奇声をあげる絶叫系の人に見えてるの!?
ハテ菜:もういいでしょ? 妥協して早くふんわりふわっこやりなよ。
アル子:むぅ、しょうがないなー。 じゃあ、
ふ〜んわりだポン♪ ふ〜んわりだポン♪
ハテ菜:…………何してんの?
アル子:6代目ふんわりふわっこが登場するとこの再現だよ。
ハテ菜:うわー、そんなことしてる筋骨隆々としたスキンヘッドの中年男性見たくないわー
アル子:いいから続けて! ここで普段の私は敵の威嚇に対抗するから!
ハテ菜:えー、アル子の威嚇ってどんなのだろう。こんなのかなぁ。
みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 負けんとですたいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!
アル子:2代目狙う気あるの? あるならちゃんとやって。
ハテ子:繰り返すけど2代目狙うつもりないわ。ちゃんとやったし。
アル子:仕方ないなぁ。じゃあ、威嚇し合うシーンは省略して次のシーンから続けるね。
ハテ菜:まだ続けるんだ。そういうブレなさは好きだよ。
アル子:ク……クソォ…… 威嚇だけでここまで世界が終焉に近づくとは……!?
アル子…… 恐ろしい子。
ハテ菜:省略された間に何があったのさ! アル子の威嚇って、世界を終焉に近づけちゃうんだ!
アル子:だがな、初代魔法戦士アル子。我にあって、貴様にないものがあるのだ!
ハテ菜:じゃあ、私も一応アル子の演技再開。みぎゃ。
アル子:それは受け継がれた歴史だ! 初代、2代目、3代目、4代目、4.3代目、4.7代目、5代目によって、我に受け継がれた奥義を受けてみよ!
ハテ菜:その小数点ついてる代はなんなの!? みぎゃぁぁぁ!
アル子:いくぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!
って、その前にハテ菜なんなの!? 私そんな「みぎゃぁ!」って言わないよね!?
2代目を目指すからにはちゃんとやってもらわないと困るんだけど!
ハテ菜:私はこれが的確なアル子の役だと思うから譲れないわ。2代目も目指さないし。
アル子:……もういいよ。じゃあ、6代目ふんわりふわっこが奥義を出す件も省略する。
その後、私がその奥義をすんなり破って、激闘の末に勝利するシーンも省略するから。
ハテ菜:すんなり破るんだ。激闘の末に勝利するんだ。へー。
アル子:じゃあ、次のシーンからね。
グフッ…… 何故だ……? 何故とどめをささない……?
ハテ菜:次、そんなシーンなの!?
アル子:えっ? 今からとどめさすとこ? とどめさすの? いや、やめてごめん許してお願いやめてやめて。
ハテ菜:しかも、なんで敵 早とちりしてんの。
アル子:そうか…… だが、最後に一つだけ言わせてもらうぞ……
ハテ菜:じゃあ、私も演技再開。
アル子:実はずっと…… お前のことが好きだったぞ……
ハテ菜:みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
アル子:あ、その反応は正解。筋骨隆々としたスキンヘッドの中年男性に告白された私の反応は正解だよ! その後、無慈悲に必殺魔法で仕留めたし!
ハテ菜:正解でよかった! もし「実は私も……!」みたいな展開だったら、変態を通報してるとこだった!
アル子:これで6代目ふんわりふわっことの戦いがどんなものかわかってもらえたでしょ?
ハテ菜:筋骨隆々としたスキンヘッドの中年男性に迫られるんだってね。
アル子:じゃあ、最後の正解の報酬として書類審査は免除にしてあげるね!
でも、2代目魔法戦士アル子の座への道はまだまだ長く険しいから精進してね。
ハテ菜:だから、2代目を目指すつもりはないと何度も言ってるでしょ! もうこれ結構!
アル子:みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
(ジャンバト+第54回投稿作品 273KB 2/4位)