バトルロワイR
コント/せめて自動ドアから離れてやれ
(ウィーン)
女店員:いらっしゃいませー
屈強男:フン、まさか一国の姫ともあろう者が護衛もつけずにコンビニでアルバイトなどしておろうとはな。
お姫様のわがままとは厄介なものだ。この姫は吾輩の組織で預かっておこう。
女店員:ちょ、いきなり何ですか。
屈強男:貴様の正体は分かっている。大人しく吾輩に連れていかれるが良い。よいしょっと。
女店員:キャー、よくある乗せ方で肩に担がれちゃったー
屈強男:姫さえ捕まえればコンビニになど用はない。さっさと出るのみ。
屈強男:……ってオイ。
女店員:……何でしょう。
屈強男:肩に担いだ途端、貴様は何をしている。
女店員:ちょうどいい位置にあなたの尻があるから撫でているのだけど。
屈強男:……なぜ貴様はこの状況で吾輩の尻を撫で回している?
女店員:それは尻が好きだからよ。
屈強男:危機感ゼロか。どうやら姫は常識に欠如しているようだな。
己が今 どういう状況下に落とされたかよく考えてみるんだな。
女店員:ええ、そうね。あまり客のいない時間帯、固く冷たいレジを打つのに疲れた手、温かく柔らかいあなたの尻を自由に触れる今。
明らかに状況は好転しているわね。
屈強男:常識が欠けているというよりは、ただのバカだったのだな。
女店員:ほらほら、コンビニの外に出るんでしょ。だったら立ち止まってないで歩いてよ。
歩いてるほうが尻に動きがあってこっちとしても楽しいんだから。
屈強男:大人しくすると共にその手を尻から離してもらいたいんだがな。
女店員:何よ、こっちは連れ去られてるんだから少しは抵抗したって良いでしょ。
屈強男:だからって、じわじわ嫌になるタイプの抵抗を選ぶな。王宮でどんな教育を受けてきてるんだか。
まぁ、吾輩もさっさと拠点に戻らねばならん。行くか。
(ウィーン)
???:はい、店から出ようとしたね。ちょっと待ちなアンタ。
屈強男:……何だ。正義の味方気取りがいたのか。
???:はぁ? あたしゃ万引きGメンだよ。あんたが持っていこうとしてるそれ、レジ通してないよね?
話は事務所で聞くからちょっとこっち来な。
屈強男:……万引きの疑いをかけられるとは心外だし、レジを通せば姫を連れて行っても良いかのような言い草だな。
Gメン:ほら、まず盗ったやつよこしな。堂々と持ち出せば万引きがバレないとでも思ったのかねぇ。
まったく、万引きなんてバカなことに手を出しよって。
屈強男:マジで吾輩は万引きだって咎められているのかよ。
Gメン:強情なやつだねぇ。さっさと盗ったやつを手放すんだよ。
屈強男:そんなことをしてはこのバカ姫が逃げてしまうではないか。
女店員:この尻に夢中過ぎて逃げられません。
屈強男:そんな変態を引き留める変態ホイホイ的な効果は吾輩の尻にはないから、いい加減に吾輩の尻を撫でるのはやめろ!
尻から手を離せ!
Gメン:アンタは盗ったやつから手を離すんだよ!
屈強男:あー、もう分かった! 手を離せば良いのであろう!?ほら!
女店員:わっ、ちょっ、急に手を離したら落ちちゃう、でも こっちの手は尻から離せないし、
そうだなんとか足で、ふぅー、危ない危ない。
屈強男:……おい。
女店員:……何でしょう。
屈強男:……何でしょうじゃないこのバカ姫。なぜこの状況でしがみついてくる?
女店員:それはこの尻を手放すわけにはいかないの。
屈強男:えらく気に入られたものだが全然うれしくないぞ。
Gメン:う〜ん、随分と強情な万引き犯だねぇ。
屈強男:いや、強情なのはこの女の方だろうが! いい加減に貴様の行為は畑違いだと気づけ!
Gメン:畑違いだぁ? 正義にはそれぞれ管轄があるのかい?悪を咎めるのも縦割り行政な社会なのかいここは!
屈強男:あー、たしかにそれは正論かも知れんが、吾輩は万引きをしているのではない、誘拐だ!
女店員:もっと悪いことでしょそれ。
屈強男:貴様のしてる行為も痴漢であると声高に警告するぞ。いい加減に吾輩の尻から手を離せ!
女店員:何よ、まだまだ前戯なのだけど。
屈強男:貴様の抵抗はどこに向かっているんだ!
Gメン:まぁ、確かにアンタの行為は万引きではないのかもしれないよ。でもねぇ、ここまで突っかかって来るヤツは逆に怪しいんだよ。
実は何か他の商品を隠し持ってるんじゃないだろうねぇ。
屈強男:貴様も完全に言いがかりの域に達してるぞ。
Gメン:ポケットに商品を隠してないだろうねぇ?例えば尻ポケットとか!
屈強男:吾輩のズボンに尻ポケットはついておらんが。
Gメン:どれ、では調べさせてもらおう。
屈強男:ついていないともう一度言うぞ。
Gメン:尻ポケットの触診をするから小娘は手をどきな。
屈強男:なっ……! 貴様、まさか吾輩の味方か……!
女店員:嫌だ。手は離さない。
Gメン:ますます怪しいねぇ。やっぱり、尻ポケットに何か商品を隠していてそれをこの小娘に守らせているんじゃないかい?
屈強男:少しでも期待した吾輩が愚かであった。吾輩の意志で尻を触らせているかのような言いがかりもやめい!
それに尻ポケットはついていない! 手で触られているとはいえ目視できるだろう!
Gメン:とにかくあたしに調べさせるんだよ! ほら、小娘邪魔な手をどきな!
女店員:嫌なものは嫌なの! なんでも母さまの言うことを聞くと思ったら大間違いなんだから!
Gメン:キィ〜、母親の言うことも聞けないのかい〜!
屈強男:……ん? えっ、母娘なの? ちょ、このバカ姫の母親ってことは一国の女王!?
コンビニなんかを女王までもがうろちょろしてるとはな!ちょうど良い、貴様ら2人とも吾輩が身柄を預かっておこう。
Gメン:な、何するんだい。
屈強男:よいしょっと。
Gメン:ひえー、娘とは逆の肩に担がれてしまった。でも……
女店員:ええ、偶然にもこの尻は2つに割れているわ。だから……
2人:2人で仲良く撫で回しましょう!
屈強男:いや、ホントいい加減にしろ!