2MRC(1本目)

 審査フォーム:審査コメントの最後に(〇点)という形で0〜10点をつけてください。
 投票済・哲夫、きょく、Warabee、えむけー

2-1-1 すじこ 2-1-2 8823 2-1-3 鋳☆いんがむ 2-1-4 けうけげん 2-1-5 ジンガー 2-1-6 ようこそ哲夫ワールド



2-1-1
すじこ
勇者の勇輝


王様「勇者勇輝よ、知っての通り今我が国はやつらの手によって滅ぼされようとしている。
   どうか、我が国のためにあの凶暴な鬼たちを退治してはくれまいか?」

勇輝「いや、私は勇者じゃなくて、あなたのとこの兵士に名前でなんとなく選ばれただけです。
   しかも勇者っぽい名前の相場はカタカナでしょうが!
   だいたい、鬼退治なんか桃太郎にでも頼んでくださいよ!」

王様「ほぉ、桃太郎とな。鬼を退治できるほど強い者がおるなら誰でもよい!
   すぐにここへ連れてくるのじゃ!」

勇輝「とんちみたいになってるじゃないですか!
   すみません、桃太郎は物語の人物なので連れてくることはできないんです。」

大臣「貴様!王に嘘をつくとはなんたる無礼者!」

勇輝「す、すみません!」

王様「フォッフォ、まぁ良いではないか、気に入った!
   そなたを鬼退治大臣に任命する!」

勇輝「さっきから何も変わってないじゃないですか!」

王様「行ってくれるかの?」

勇輝「  はい
    →いいえ」

王様「行ってくれるかの?」

勇輝「  はい
    →いいえ」

王様「行ってくれるかの?」

勇輝「  はい
    →いいえ」

王様「行ってくれるかの?」

勇輝「…
    →はい
     いいえ」

王様「おぉ!行ってくれるとな!なんと勇敢な若者じゃ。」

勇輝「私今年42ですよ!しかも今年厄年なんですから!」

王様「ワシから見たらまだまだ若いわい。
   そうと決まったら資金が必要じゃの。
   大蔵大臣!」

大蔵大臣「軍資金でございます。お納めください。」

勇輝「さ、三千円!もう少し何とかならないんですか!」

大蔵大臣「滅びかけてる国ゆえ無駄な費用に予算を避けないのです。」

勇輝「無駄って言った!今この人無駄って言った!
   もう良いです!それならもう鬼退治なんかやりません!」

王様「やってくれるかの?」

勇輝「 →はい
     いいえ」

王様「街の周りには狂暴なモンスターがたくさんおる。
   武器や道具を揃えてから旅に出るのじゃよ。

   とは言っても武器屋や道具屋は不況で潰れてしもうた。
   今や残っているのはこの城1階のコンビニだけじゃ。
   コンビニ大臣!この者へ商品を紹介してやってくれ。」

勇輝「店長でよくないですか?」

コンビニ大臣「ウィーン

       いらっしゃいませー。
       ・クリスタルガイザー…48000円
       ・鬼ころし     …98000円
       ・プリングルスの筒 …59800円
       ・エターナルブレード… 3000円
       ・うまい棒     …  10円

勇輝「独占してるのを良いことに法外な価格設定をされている!
   しかもそれっぽい名前なだけで、エターナルブレードくらいしか戦えそうな武器ないじゃないですか!
   プリングルスの筒はただのゴミでしょ!その点、うまい棒だけは据え置き価格で安心。」

コンビニ大臣「期間限定のうまい棒めんたいこ味がおすすめですよ。」

勇輝「年中あるわ!化学調味料に旬ねぇだろ!
   エターナルブレードください。」

コンビニ大臣「エターナルブレードですね。3150円です。」

勇輝「消費税!
   ちょっと!強そうな武器が買えないじゃないですか!大蔵大臣!」

大蔵大臣「申し訳ございません。
     先ほど我が国の最後の資金でクリスタルガイザーを買ってしまいました。」

勇輝「貴重な国家予算をくそ高いミネラルウォーターに使うなよ!
   もう無いよりマシだと思ってうまい棒買っとくか。」

コンビニ大臣「うまい棒を285本ですね?」

勇輝「全財産をうまい棒に捧げるつもりはないです!
   じゃあ3本ください。」

コンビニ大臣「すみません、持ち物がいっぱいのようです。
       荷物を整理してください。」

勇輝「いや、何も持ってませんよ!3本くらい持てますから!」

コンビニ大臣「片手につき1本までとなります。」

勇輝「もっと持てるでしょ!
   ポケットにでも入れたら良いじゃないですか。」

大臣「鬼退治大臣よ、そなたには後程初期装備に着替えてもらうが、
   腰みのにそのような収納性を期待するでない。」

勇輝「初期装備ってなんですか!
   今着てる服で良いじゃないですか!
   腰みの履いて両手にうまい棒握りしめたおっさんが鬼と戦えるとは思えません!」

コンビニ大臣「ここで装備していきますか?」

勇輝「いや、お菓子装備しないでしょ。」

謎の声「うまい棒は装備しないと意味ないよ。」

勇輝「今の誰ですか!
   装備しないといけないなら仕方なく装備しますけど。」

コンビニ大臣「お買い上げありがとうございました。
       (封をあけて中身だけ渡す)」

勇輝「うわっ!もうここで食べるしかないじゃないですか!」

謎の声「それを食べるなんてとんでもない。」

勇輝「謎の声うるせぇな!
   あー油で手がぬとぬとする。」

王様「準備が整ったようじゃな。
   ほれ、後はこの腰みのに着替えるのじゃ。」

勇輝「どこ見てそう思ったんですか!
   (早着替え)
   どんどん鬼退治へ行く気が薄れてるんですけど。」

王様「フォッフォ。そういうこともあろうかと特別に鬼を呼んでおいたぞよ。」

勇輝「武器と強くなる時間と上着をください!」

鬼「お招きいただきありがとうございます。」

王様「鬼よ、遠いところからよくぞ参った。
   さぞかし疲れたじゃろう、ほれ、この水でも飲んでゆっくりするがよい。」

鬼「いえいえ、高速使えば15分くらいですよ。」

勇輝「近っ!その距離で高速使うなよ!
   ゆっくりお昼食べてからとかで来いよ!」

王様「勇輝、油断しておる今のうちに鬼を討つのじゃ。」

勇輝「え、え、え、今っ!?

もうやけだ、鬼め、これでもくらえー!」

大蔵大臣「勇輝の攻撃、鬼に1のダメージ。(うまい棒【右】は砕けた)」

コンビニ大臣「鬼の攻撃、勇輝に4のダメージ。
       勇輝は倒れた。」

王様「おぉ、勇輝よ、4のダメージで死んでしまうとはなんという運動不足。
   神のご加護のあらんことを。」


謎の声「game over…

    イベントを短縮しますか?」

王様「勇輝、行ってくれるかの?」

勇輝「  →はい
いいえ」

鬼「金棒でゴツン!」


王様「勇輝、行ってくれるかの?」


そして、勇輝は輪廻となり、後に消費税は8パーセントまで引き上げられましたとさ。めでたしめでたし。





 【コメント】

この行数でここまでたっぷり詰めてくるとは……
素晴らしいです。ボリュームがすごい
消費税のせいでエターナルブレードが買えないとか面白かったなぁ
化学調味料に旬はない、運動不足で死んでしまうなど絶妙なボケがなんとも心地よいですね
9点です

 木工用ボンド
ただやみくもに要素を全部投げただけじゃなくうまくまとめて手数も多くて楽しめました
桃太郎成分が鬼だけだったのでもうちょっと欲しかったですかね
「水でもどうぞ」はおそらくクリスタルガイザーだと思うんです軽くでも触れてほしかったです。
オチが投げっぱなしな感じだったのが残念。「輪廻となり」って表現は好きなんですけど
8点

藍殿TT
MRC要素を全部ぶち込んできてくれましたね。
桃太郎呼んで来いとか、店長でよくないとか、片手につき一本までとか、鬼を呼んでるとかアホらしいボケが満載で勇輝の正当なツッコミと合わせて面白かったです。
設定や展開自体は割とオーソドックスな感じだったので ボケへの上乗せという点では少し弱いようにも思いました。
7点


2-1-2
8823


インタープラグ/コンビニ強盗

八神 (ナイフを綿谷に突きつけ、カバンを差し出す)これにレジの金を全部入れろ。今すぐにだ。

綿谷 !!!!?・・・・あ!!は、はい!!(カバンにレジの金を入れ始める)

八神 ・・・。

綿谷 (カバンのチャックを閉める)こ、これで全部です!

八神 (カバンを持ち、店を出る)

綿谷 (店を出て、追手がいないか確認する)

八神 (あらかじめ用意しておいた逃走用の車に乗り込む)

綿谷 (助手席に乗り込む)

八神 (鞄を綿谷に渡し、車を出発させる)

綿谷 ・・・上手くいきましたね。

八神 あぁ・・・

いや何でだ!!!!!?

綿谷 うわっ!ちょ、ハンドル!前見てください!!

八神 危なっ!・・・っつぉお〜!!危うく電柱に激突するところだった・・・!

綿谷 まったく、強盗が上手くいったのはいいけど、逃走で事故ったら台無しですよ。

八神 あ、ああ・・・そうだな・・・いや、そうじゃなくて!!え!?何これ!?・・・え!?運転してるのも相まって上手く情報を処理できねえ!!

綿谷 お、落ち着いて!今は逃走中なんだから止まるわけにもいかないでしょ!?あわてずに運転しつつ考えましょう!

八神 う、うん・・・って言うか混乱の原因お前だかんな!?ちょ、一回一連の流れ振り返るぞ!?

綿谷 一連の?

八神 ついさっき!お前何やってた!?

綿谷 僕ですか?見てて分かると思いますけど、コンビニのバイトですよ。深夜で客足もなくて、店長が裏で売り上げの整理やってました。

八神 そうだよな!?で、レジにお前一人になったところを見計らって俺が店に入ったんだよな!?

綿谷 そうそう!それで僕にナイフを突きつけてきて!

八神 俺がカバンを渡してレジの金を全部入れさせて!

綿谷 追手がいないのを確認しつつ車に乗って!

八神 俺も乗車して発進させた!・・・と・・・。

綿谷 ・・・特におかしいところなかったと思いますが。

八神 最後の方にあったわ!!何でお前逃走車に乗り込んでんの!?ナチュラルすぎてしばらく気づかなかったわお前がいることの異常性に!

綿谷 人を異常者呼ばわりしないで下さいよ〜!それ言うんだったらコンビニ強盗の方がよっぽど異常ですって!

八神 いや、自信持って言うけど強盗より変だぞお前!そもそも店員だよな!?割と直接的な被害者だよなお前!?お前俺に殺されかけたんだぞ!?

綿谷 ナイフ向けられた時、生きた心地しませんでしたよ〜。怖かった〜!

八神 何だったら今も相当やばい状態だからな!?お前強盗が運転する車の助手席乗ってんだぞ!?どっちかと言うとお前の精神構造の方が怖えぇわ!

綿谷 でも、この国道走っているうちは大丈夫だと思いますよ。信号もほとんどないし、停止することはあまりないと思います。それに、走行した状態でナイフを使って僕に襲い掛かってきたら却って危険ですよ?

八神 大分冷静な分析してるな!?っつーかそれ以前に!何でお前乗り込んだの!?

綿谷 ・・・小さい時からの夢が、叶えられるかもしれないって思って・・・。

八神 は?お前強盗するのが夢だったの?

綿谷 いや、強盗自体は軽蔑しています。人の金を暴力でもぎ取ろうとする野蛮な考えを持っている人なんて、ちょっとでも見ると反吐が出ますよ。

八神 ・・・だとしたらお前反吐どころの騒ぎじゃねえぞこの状況。真隣にその軽蔑の対象がいるって言うかよくそんな口きけるな?・・・それはさておき小さいときからの夢って何なんだよ?

綿谷 この状況・・・でしょうか?・・・初めてなんです。

八神 ・・・大概の人が初めてだろこの状況・・・俺だって初めてだわ。

綿谷 いや・・・人生で無かったんです。車に乗るのが。

八神 ・・・んん!?

綿谷 車に乗ってみたかったんですよ〜!念願叶った〜!!

八神 嘘だろ!?お前どんな人生送ってきたんだよ!?大正生まれか!?・・・大正生まれでも乗ったことある人の方が多いんじゃね!?その辺の塩梅よくわかんねえけど!

綿谷 本当です!・・・実は、貴方がうちのコンビニの駐車場に車を止めていたあたりから気づいていました。

八神 割と早い段階で俺の強盗を察してたんか!?

綿谷 ナンバープレートも見えづらいように加工してあるし、降りてきた黒ずくめにマスクの男・・・これはチャンスだと思いましたよ。

八神 大ピンチだろ!人生で最大規模の命の危険だろ!!

綿谷 一瞬のずれも逃さないように、ただただ自然に車に乗り込むことに集中していました。レジのお金を詰めている間もね。

八神 さっきお前怖かったって言ってただろうが!!案外心に余裕あったんだな!

綿谷 そして今、車に乗るという人生で最大の夢を実現したんです!あぁ良かった!!本当に嬉しい!!

八神 家に自家用車がないのかもしれないけど、それでもタクシーとかバスとか乗るだろ!!

綿谷 タクシーは家が貧乏で乗せてもらえなかったんです。

八神 ・・・学校遠足でも?

綿谷 僕、学校のイベント当日に12年連続でインフルエンザを発症しているんです、

八神 逆によく生きてるな今日まで!ちょっと同情しちゃったわ。

綿谷 僕こそお金が必要な男だっていう自負があります・・・あ、そこ左で。

八神 何の自負だよ・・・(左折)・・・いやどうしてお前が逃走経路指示してんだよ!?そのナチュラルに共犯の空気出すの止めろや!

綿谷 実は、僕の友達が警察官なんですけど、今日国道沿いで検問を実施するって言っていたんですよ。

八神 え!?

綿谷 多分店長も警察に連絡しているとは思うんで検問で止められたら一発でばれると思います。

八神 そ、そうか・・・う〜ん・・・釈然としねえなあ!!

綿谷 せっかく助けたのに・・・。

八神 それはありがたいんだけどお前の目的がわけわかんねえんだよ!それ知ってるんだったらうまく俺を検問の方に誘導しろよ!犯人が言うのも変だけどさ!

綿谷 そんな、車に乗るっていう夢を叶えてくれた人を差し出すなんてできません!それに強盗だけじゃなく誘拐の余罪も付きますよ!?

八神 もうこいつ本当に怖い!!一刻も早く降ろしたい!!そんで誘拐になるの!?お前が勝手に乗り込んできたくせに!!ってかもういいだろ!お前も十分ドライブ楽しめただろ!!

綿谷 えぇ〜・・・もう楽しい時間も終わりかぁ〜・・・あ、ちょうどあのアパートが僕の家なんですけど・・・。

八神 じゃあそこで降ろすからな!?ってか何これ!?結果的にタクシーみたいになってんじゃねえか!!(停車)

綿谷 (降車)本当にありがとうございました。

八神 ・・・やっぱ強盗より怖ぇえよあいつ!!(発車)


綿谷 ・・・もしもし、店長ですか?・・・えぇ、僕は大丈夫ですけど、レジのお金は・・・止めようとしたんですが、逆に車で連れまわされて、隙をついて犯人の車から降りたところです。今からお店に戻ります。警察の人にも、事情聴取しないとですし・・・はい。(ピッ)・・・(カバンのチャックを開ける)・・・へへっ。


 【コメント】

オチが素晴らしいですね。作品としての完成度が高いです
実際に劇団の練習台本としてすぐにでも使えそうなネタだったお思います
ただコントとして見るのであればこの設定ならば2人の会話だけで爆笑を取るのは少々難しいかもしれません
状況説明や動機、キャラの立て方が優先されるので……
もっと行数を増やして間にもう一つドラマができればさらに面白くなるネタだと思うので、違う機会でまた見てみたいですね
6点です

 木工用ボンド
出だしでめっちゃ笑いました。ト書きのテンポが良い
その後の「車に乗るのが夢」という部分も面白かったんですが、ボケとして設定を超えるものが無かったかなあと思います
オチの1行は素晴らしいです。コントならボケ欲しいところですけど、ネット長文だとこういう唸る感じのオチがあってると思います
7点

藍殿TT
うわー、確かに自然な流れの中で鞄を預かってましたもんね!やられたー!
行数制限がある中で話をしっかりまとめているし伏線をちゃんと回収したりで非常によくできているネタだと思いました。
点数は笑った分を加味してつけた感じですが、シナリオ大賞をあげたいです。
8点


2-1-3
鋳☆いんがむ

晴耕雨読 コント/桃太郎・改


雨読:桃太郎さん…僕らいつまで海の上を進めばいいんですか…?

晴耕:知らん。作者の…いや、編集者の意向次第だろ。

雨読:だってねえ…僕とエテモンときじっぴい、単行本2巻までで3匹全員揃ったんですよ。それが今何巻です?

晴耕:昨日21巻が出た。

雨読:それで未だ鬼ヶ島上陸せずて!
   舟乗ってからあまりにも長すぎるんで、「あれ? これ海賊漫画のたぐいだっけ?」と軽く感覚麻痺してきてるんですよ!

晴耕:お前、それだったら俺らが退治される立場になるじゃねえか。

雨読:言葉のあやですよ! 「話を引き伸ばしすぎじゃない?」っていうことですよ!
   まず浜辺で舟乗るのに何しました?

晴耕:材料から集めて手作り。

雨読:どこぞの島を開拓するアイドルじゃないんですから!
   でもってそのあと乗ったら乗ったでエテモンが船酔いして吐きまくって、克服するまでに2巻消費するし!
   この間何回吐きました?

晴耕:253回。

雨読:慣れなさすぎでしょ! 紙面の向こうで読んでる人たちにはわからないだろうけど、
   こっちにとってはクッサいのすっぱいのでもうたまったもんじゃなかったんですから。

晴耕:そうやってお前が臭いの何だの食ってかかるからエテモンもヒステリー起こして余計まどろっこしくなったんじゃねえか。
   了見が狭すぎるぞ、犬。

雨読:そこは“『犬猿の仲』というアングル”ってのがありますから。
   それに自慢の嗅覚を四六時中刺激され続けてすっかり麻痺しちゃったんですよ!
   持ち味奪われたらそりゃ黙ってもいられませんよ!

晴耕:そういうねちっこいところ犬の悪い癖だぞ。

雨読:てかその呼び方! 猿の『エテモン』は若干差別臭もするものの
   「『猿』が『去る』に通じて縁起が悪いので『えて(得手)』と言い替えるようになった」という由来からすればまあOKです。
   そして『きじっぴい』は某とらのこどもがちゃれんじするやつのキャラ名に似てますけども!ギリギリセーフだとしますよ。
   でも僕のこと『犬』て! なんですか、その一般名詞!?

晴耕:まあ当初は名前のことそこまで重要な要素だとも考えてなかったんだろ。

雨読:いや、考えてなさすぎでしょ! どう大目に見ても連載開始前に設定固めとく部分でしょうよ!

晴耕:それを言ったらポケットなモンスターのアニメでもほとんどのモンスターにニックネームついてないだろ。

雨読:それは種族名と別に名前つけるとややこしくなるからでしょうよ! 僕の場合は『犬』って呼ばなくても犬であることは明白でしょうよ!

晴耕:…………。(すー)

雨読:!! (ゲホッ、ゲホッ)くっさ! 屁ぇくっさ!! そうやって都合悪くなるとすかしっ屁で無言の反抗するのやめてくださいよ!

   ――それからですよ、最初に鬼ヶ島と思って上陸した島が実は違ったってエピソード、
   そういう肩透かし系自体はまだ許容範囲だとしても誤認した真相は何でした?

晴耕:「実は漂流した幻術使いの少年による幻だった」

雨読:あっさり桃太郎さん以上のチートキャラ出ちゃってる!
   でもってその子を故郷へ送り届けるため引き返すっていう展開、完全にストーリー迂回させるためのおつかいイベントじゃないですか!
   「一旦本土へ戻る」って桃太郎史上見たことないですよ!

晴耕:そういうのも破天荒でいいじゃねえか。

雨読:で、送り届けた港が栄えてたから「飯食ってこうぜ、飯!」ってはしゃいであれこれ飲み食いしたはいいものの、桃太郎さん会計の時なんて言いました?

晴耕:「金持ってない」

雨読:馬鹿ですかあなたは! タダで飯が出て来るのは実家だけでしょうよ。

晴耕:俺、買い物だとか金やりとりしたことねえんだよ。

雨読:でしょうね。もともとの桃太郎のストーリー上そういう要素ないですもんね!
   まあ契約金がきびだんご1個だった時点で僕もその辺のこと気づいとくべきでしたけども!

晴耕:まあでも、そういうのも『青春の過ち』だと思えば勲章っぽくね?

雨読:ぽくないですよ!
   あの時きじっぴいなんてあやうくキジ鍋にされそうになって「ファー…ブルスコ…ファー…ブルスコ…ファー」と我を失っちゃったんですから!
   んで代金の分を皿洗いとかで返してやっと解放されたと思ったら、何が明かされました?

晴耕:「港町全体が幻術使いの一族によって映し出された虚像だった」

雨読:全くえらいタイミングで種明かししてくれましたよ!
   特に人間並みの仕事させられたエテモンの「俺の徒労感を返せ!」って叫び、あの時はさすがに僕も同情しましたよ!

晴耕:まあでも幻ってのよくよく考えれば納得なんだよなあ。本当に栄えてたなら鬼たちも俺らの住んでた田舎じゃなくてそっちの方を襲うだろうし。

雨読:確かにそうですけどね! ちくしょう、なんで僕もちょいちょい考えが足らないんだ!

晴耕:所詮動物の脳みそは猿並みってこった。

雨読:犬だよ! 猿とは対立してることになってる犬だよ!

   ――で、ようやく航海へと戻るも鬼ヶ島が見つからなくて、代わりに寄った島で出会った長老がなんて言いました?

晴耕:「鬼ヶ島は周囲を“見えずの霧”で包まれていて、ただ舟を進めるだけではたどり着けない。見つけるには伝説の財宝『明かしの鏡』が必要」

雨読:また迂回かー、と。今度はトレジャーハンティング路線かー、と。

晴耕:あの頃にはアニメ版もスタートして、そうそう終わらせられなくなってきたしな。

雨読:そのアニメ版ですけど、この前“こっち(原作)”にない回想シーンに入ったと思ったら
   桃太郎さんが大人になる前の日々を描く『修業編』がスタート…って、まさかのオリジナルストーリー突入ですよ!

晴耕:しょうがねえだろ、そうでもしないと“こっち”に追いついちまうんだから。

雨読:というか、そもそもなぜ“こっち”で修業するエピソードを描かなかったんだと。
   主人公が赤ん坊から一気に青年になって、しかも剣術を会得済みってインスタントにもほどがあるじゃないですか!
   『友情・努力・勝利』が泣いてますよ!

晴耕:そりゃあお前、連載ののっけから地味な下積みパート描いてたらいつ打ち切られるかわかんねえから
   最初のうちにある程度話を展開させとく必要もあるんだよ。

雨読:それにですよ、桃太郎さんは確か大人になってから鬼たちの悪行を聞いて退治を決意したんですよね?
   なのに、それより前に未来予知してたかのように修業してたって不自然じゃないですか!?

晴耕:お前ちゃんとアニメ観てないのか? 修業は「精神鍛錬のため」って理由言ってただろ。

雨読:それならば頭を鍛練してお金の使い方とか覚えてほしかったですよ!

   それにアニメはおまけコーナーもカオスですよ。
   放送開始当初は『きび団子の作り方』で全4回。次は『きび団子の名店紹介』で約1クール。それぞれよく持った方だと。
   そして始まったのが『桃を使ったレシピの紹介』。

   ――最初からそれやればよかったろ!と。

晴耕:別にその辺は俺らが干渉する必要なくね?

雨読:でもそれすらもネタが尽きて、挙句の果てに先週のおまけ内容が『おいしいキジ鍋の作り方』。

   ――スタッフ馬鹿じゃないの!? きじっぴいめっちゃショック受けてましたよ! 「モルスァ」っつって失神したっきり目ぇ覚ましてないですよ!!

晴耕:まあそのうちには目を覚ますだろうし、そもそもあんまり戦力として期待してないし。

雨読:よくさらっとそういうこと言えますね!?

晴耕:だってあいつ人気投票でもおじいさん・おばあさん含めた主要キャラ中最下位だぜ?

雨読:確かにきじっぴいは影が薄いところがあるかもしれないけど、でもそれを言ったら桃太郎さんだって
   あの幻術使いの子に敗れて2位だったじゃないですか。ゲストキャラより魅力の低い主人公て!

晴耕:あのショタ腐女子人気高いからなー。また本編中のどっかで出てくるかもな。

雨読:人気取り目的で話にねじ込むのは勘弁していただきたいわ…。
   とにかくこの作品は原作にしろアニメにしろ展開が闇雲で、設定の付け方が後手に回ってばかりなんですよ!

晴耕:でも最近は今後の展開も見据えるようになってきてると思うぜ?
   件の修業編でも俺の師匠の顔が視聴者から見えないように描かれてて、何がしかの伏線ぽくなってるし。

雨読:ええ、不自然なまでに顔隠してますもんね! けどそれがちゃんと伏線として回収できるのか不安ですよ。
   “こっち”の方ではこないだ増刊号で始まったスピンオフの『エピソード0』におじいさんの家を監視する怪しい人影が出てますけど
   シルエットが後の「師匠」と明らかに別人だし、果たして矛盾起こさずに話をつなげられるのかと!

晴耕:怪しい人影っつったら俺らの後にも誰かついてきてるみたいだけどな。
   だいたい話の節目ごとに、離れたとこから俺らの様子こっそり伺ってるやつが見切れてるの気づかなかったのか?

雨読:!? き、気付かなかった…。くそ、嗅覚が麻痺してるせいで……。

晴耕:いや、そいつがつけて来てるの犬と出会うより前だし。ほんとはお前最初から嗅覚狂ってんじゃねえの?

雨読:うっ…そ、そんな……。

   ――ま、まあ、それからまだ気になる点がありますよ。
   『エピソード0』で桃太郎さんが生まれる1年前におじいさんがとある若い女性と頻繁に密会してるんです。
   これはまさか“そういうこと”があったんじゃないかと…

晴耕:そ れ は 無 い 。

   おじいさんはO型で俺はAB型。O型からAB型は生まれん。

雨読:なんで血液型把握してるんですか!? 話の設定的に知り得る情報じゃないでしょ!?

晴耕:いや、単行本の余りページに収録されたキャラクター紹介に載ってたぞ。お前読んでないのか。

雨読:そんなところに桃太郎とミスマッチな設定載ってたん!?
   あとお金の使い方も知らない癖に「O型からAB型は生まれない」ことは知ってるという知識の偏り!

晴耕:あいつが「ジジイと血が繋がってりゃのちのち財宝の分け前が俺にも…」って言ってたからなあ…。

雨読:あいつ!? じゃあ桃太郎さんとは別ながら、やはりおじいさんと若い女の間に子供が出来てたんじゃ…。

   ――だとすると僕らの後をつけてるのも今後桃太郎さんが財宝を持ち帰ることを見越した“あいつ”で、
   桃太郎さんは気づいていながらあえて正体を知らないふりをしている……実のところそうなんじゃないですか!?

晴耕:…………。(すー)

雨読:くっさ! これ図星だ!!


 【コメント】

ファービーおったなぁ……
読んでてずーっと二ヤけて読めるタイプのネタでした
犬のツッコミがボイスで聞こえたらこのネタさらに面白いんだろうなぁと思いましたね
こんなグダグダな展開なのが読者に受けてアニメ化までされたんでしょうけど、さすがにキビダンゴの店紹介で1クールは視聴者が怒るでしょう……(笑)
ただ、ニヤけてずっと読んでいられるネタなんですけど声に出して笑えるネタかというとそうでもなく……。
メタ展開のほかに、もう一つ軸となるような展開やボケがあれば更に良くなると思います
5点です

 木工用ボンド
「マンガの中の桃太郎のキャラクターが今までのストーリーを振り返ってる」という設定がまどろっこしくてイメージしづらかったです。もっといい表現方法があったんじゃないかなあと
マンガの中のキャラクターなのに「見てないのか」というのもしっくりこず、なかなか飲み込めない文章でした
すかしっぺはくだらなくて好きです
3点

藍殿TT
長編漫画やアニメのあるあるがこれでもかというくらい盛り込まれていてなんか勉強になりました。
作品中のキャラクターが巻末の設定とかアニメオリジナルストーリーに言及していくメタさが楽しめました。
ちょっとネタにまとまりが無かったようにも思いましたが、それ自体がもう 長編あるある みたいなとこあるのでプラスなのかマイナスなのか難しいところでした。
犬はしっかり者だけどちょっと抜けてて可愛い動物ですね。
6点



2-1-4
けうけげん

ミルキーケース騎士団 漫才/英雄譚は色褪せない


ミル:皆の物、お初にお目にかかる。我らミルキーケース騎士団だ!!
   私は女騎士のミル・ブロッサム!!ファンタジー世界からべしゃりのテッペンに立つべくやって来た!!
   好きなスライムはマグマスライム!!嫌いなスライムはムラサキマダラオオスラくっ殺せ!!

啓介:あーちくしょー、ツカミ最後まで言えなかったー!!
   せめてスライムは言い切ってほしかったー!!あ、俺は相方の啓介です!

ミル:くそっ、ツタヤで借りていたDVDの返却期限が昨日だったことを思い出した……何たる不覚!!殺せ!!

啓介:返しに行けや!死で償う必要ねえよ、延滞料金払えば許して貰えることだよ!!

ミル:さぁ殺せ!そして私の首を、ツタヤの店員に差し出すといい……!!

啓介:何のけじめだ!!DVDの代わりに生首帰ってくるとか聞いたことねえサイクルだわ!!
   いいから漫才しようぜ、そんで漫才した後にツタヤに馬を走らせろよ。

ミル:……フッ、そうだな……私は生きて漫才を成し遂げ、ツタヤに「ゲロッパ!」を返しに行かなくてはな……!!

啓介:何借りてんだ。別に何借りてもいいけど何借りてんだ。

ミル:というのも、私は映画が大好きでな。ファンタジー世界でも任務の合間にツタヤでDVD借りたものだ。

啓介:ファンタジー世界にもツタヤ出店してんのかよ。文明レベルどうなってんだ。

ミル:映画に限らず物語が大好きでな。
   特に幼少期母親に読み聞かせてもらった「スライムたろう」は強く頭に残っている。

啓介:スライムたろうて。現時点じゃ元ネタが桃なのか金なのか浦島なのかもわからんぞ。

ミル:あと思い出深いのが「走れスライム」「ごんスライム」「大造スライムとがんスライム」だな。

啓介:何そのスライムにまみれた教科書オールスターズ!!スライム走れんのか!

ミル:そうだ、今日はいい機会だし、私が「スライムたろう」を読み聞かせてやろう!
   構わないな!?どうしてもイヤだと言うのなら仕方ない、いつものように私を殺せ。

啓介:殺したことねえよ!!やめろ角が立つだろ、俺ご近所じゃガンジー啓介と呼ばれるほどの聖人君子で通ってんだぞ!!

ミル:いつものように私を殺した後いつものように血をすすり、その夜いつものように漫才をするが良い。

啓介:これは紛れもない名誉毀損だからな!?相方じゃなかったら法廷案件だからな!?
   もうわかったよ、これ以上俺のクリーンなイメージ壊されたら適わん、早く話せよ。

ミル:ありがとう!!お礼に後日ツタヤ店員の首をくれてやろう!!

啓介:もうお前女騎士とかじゃねえよ!!国に監視つけられるタイプのやつだよ!!もう早く話せよ。

ミル:よし、では始めるぞ、あーあー、こほん……
   「昔々あるところに、勇者アルファルドと賢者マリエッタがいました」

啓介:おじいさんおばあさんポジションが仰々しい!!
   いきなり勇者とか出ちゃうの、スライムたろう霞むよ!?

ミル:「勇者アルファルドは魔王ルコナーを征伐した後、名を捨てて最果ての街で静かに暮らしていました。
   なお彼は、討ち滅ぼした魔王ルコナーの魂が彼の妻である賢者マリエッタの体に住み着いていることを知りません」

啓介:ごめん、今からでもいいからそっち主軸にしてくれないかな!?
   スライムたろうとかどうだっていいよ、エピローグでぷるぷるさせときゃいいよ!!

ミル:「ある日、勇者アルファルドが山へゴブリン退治に、賢者マリエッタが川へ水のマナを溜めに行くと」

啓介:専門用語が多すぎてよくわかんねえ!興味のない資格の説明を受けているかのようだ!

ミル:「川上から大きなスライムがどんぶらこどんぶらこと流れてきました」
   ちなみに通常のスライムは水に入ると溶けてしまうため、このスライムは水に耐性のあるアクアスライムだとわかるな。

啓介:謎の解説を挟むな!!絶対他に説明すべきことあるだろ!

ミル:「賢者マリエッタは言いました。
    『グハハハハ、こんなに大きなスライムは危険だ!吾輩が両断してくれようぞグハハハハ!』」

啓介:魔王の魂が強い!!勇者よく気付かないでいられたな!!

ミル:「賢者マリエッタは風斬の魔法でスライムを真っ二つにしました。ズバァァァッ!!!
    するとびっくり、さっきまで巨大スライムがいたところに、スライムAとスライムBが!!」

啓介:分裂してない!?そいつ攻撃すると増えるタイプじゃない!?よくわかんねえけど!!

ミル:「スライムAは人畜無害ということもあり、スライムたろうと名付けられ2人に育てられました。
   一方スライムBは邪悪な存在で、人を襲い金品を奪ったあげく、島を占拠しておにスライムとして君臨しました」

啓介:あ、鬼のポジションスライムBなんだ!?賢者余計なことしなけりゃ良かったんじゃない!?

ミル:「スライムたろうは言いました。
    『お二人とも、私は島へ向かいますたろう。片割れの愚行は私が止めねばなりませんたろう』」

啓介:語尾のキャラ付けがクソだ!語尾たろうって何だよ、せめてスライムを活かせよ!

ミル:「賢者マリエッタは言いました。
    『グハハハハ、おにスライム誕生は私の責任でもある!!!
     貴様にはこのきびだんごを授ける、必ずやおにスライムを根絶やしにするのだゲァーヒャッヒャッヒャーッ!!!』」

啓介:魔王濃くなってない!?今んとこ賢者感感じた部分ゼロだぞ!?

ミル:「勇者アルファルドは言いました。
    『ぶきや ぼうぐは ちゃんと そうび しないと いみが ないよ』」

啓介:何でだ!!何で勇者は最序盤の村人に成り下がってんだ!!

ミル:「2人の想いを背負い、スライムたろうは旅立ちました」
   ちなみに余談ではあるが、時を同じくして北の海を守るマーメイドプリンセスが消息を絶ったのはまた別の話だ。

啓介:だからサイドストーリーのが抜群に面白そうなんだけど!もうスライムたろう爆死させてスピンオフしようぜ!

ミル:「おにスライムヶ島を目指し進むスライムたろう。
    するとそこに、いぬスライム、さるスライム、がんスライムが現れました」

啓介:1匹出演作品間違えてるぞ!?そいつ大造スライムの管轄下だぞ!?

ミル:余談ではあるが、スライムは食べた動物の特性を吸収する性質があるため、彼らはそれぞれの動物を喰っているぞ。

啓介:怖い裏設定をバラすな!ちょいとほのぼのした絵面が台無しだよ!!

ミル:「『スライムたろうさん、僕達お腹ペコペコだワン』
    『お腰につけたきびだんご、一つ私に下さいっキー』
    『クエーッ!!クエックエックエックエーッ!!!』」

啓介:なんでがんだけ野性味強いんだ!!スライム要素ありゃしねえ!!

ミル:これも余談だが、人語を話すスライムは例外なく人を食べている。

啓介:マジで知りたくなかった!!その補足説明やめてくれよ、今んとこ裏目にしか出てねえよ!!

ミル:「スライムたろうは言いました。
    『今から向かうおにスライム退治、ついて行くならあげましょうたろう』」

啓介:じゃあコイツも人喰ってるじゃねえか!!たろう的なやつを喰ってるじゃねえか!!

ミル:「こうして3匹のお供を連れたスライムたろうはおにスライムヶ島へと向かいました」

啓介:もうダメだ、俺はこの物語を愛せない!おぞましいモンスターの群れとしか思えない!

ミル:「旅路の果てに遂にスライムたろう一行はおにスライムヶ島へと辿り着きました。
     『ここがおにスライムヶ島ワンか……
     『遂にここまで来たっキーね……
     『つーかー、早くやっつけて帰るっきゃなくねクエーッ?』」

啓介:がんスライム人喰いやがったな!?恐らくギャル的なやつ喰いやがったな!?

ミル:「するとそこに姿を見せたおにスライム!!
    『ふふふ……流石は我が半身マーメイド……来ると思っていたよプリンセス……』」

啓介:コイツマーメイドプリンセス喰ってやがる!!北の海の守護神消したのコイツだ!!

ミル:「おにスライムに対し一斉に攻撃を仕掛けるお供たち!!
    いぬスライムは火炎放射を放ち、さるスライムは樹木を操り、がんスライムは雷を落とす!!」

啓介:動物の特性を全く活かしていない!!道中どんだけ凄えヤツ喰ったんだ!!

ミル:「しかし攻撃をどれだけ喰らっても平気な顔のおにスライム。
     『これで終わりマーメイド?ならばこちらの番だプリンセス!!』
     おにスライムが右手を掲げると、島の周囲を取り囲む海水が竜の形となり一行に襲いかかる!!」

啓介:ちくしょう、全員スライムの分際でいっぱしのバトル感出しやがって!!スライムに右手なんてあんのか!!

ミル:「スライムの弱点である水を浴びて瀕死のお供、しかし一人凛と立つスライムたろう。
    『な、何故マーメイド、何故水を浴びて溶けないのだプリンセス!?』
     『ふっ、忘れたのかいたろう……僕は水に耐性のあるアクアスライムだ!!!』ばーん!!!」

啓介:何の伏線回収だ!!まさか伏線が話ではなく語り手の補足説明にあろうとはな!!

ミル:「『今度はこちらの番たろう……喰らえ、風斬!!!』
    巨大な風の刃がおにスライムを両断する!!!ズバァァァッ!!!」

啓介:あれ、賢者喰ってない!?その技冒頭でお前ら分裂させた技だよね!?

ミル:「激しい戦いの末、遂にスライムたろうはおにスライムを倒しました。
    『終わった……これで村に平和が訪れるたろうイヌサルガンマーメイドプリンセスおにスライム……!!!』」

啓介:全員喰っちゃってんじゃねえか!!悪の討伐譚じゃねえよ、単なる弱肉強食の話だよ!!
   おいいい加減にしろよ、ただただスライムのおぞましき生態聞かされただけだよ。どうしてくれるんだよ。

ミル:…………くっ、殺せし殺せし!!

啓介:めでたしめでたしみたいに言うな!!もういいよバーカ!!





 【コメント】


スライムたろう爆死させてスピンオフしようぜ!
はさすがに声を出して笑いました。何たるキラーワード う〜ん、でも審査員としてこんなことを言うのはアレかもしれませんけど、けうけげん君のネタは本当に初期からたくさん見ていて面白すぎる作品を何本も何十本も見てきただけに、今回のネタはちょいと爆発力に欠けるというか、もっと好き放題やってもいいんじゃないかなって思ってしまいました
行数の関係でけうけげん君得意の前半にふっておいて後半怒涛のように回収するという組み立ても今回はやや失敗気味 マーメイドプリンスとかもっといじれたはず
と厳しいような何言ってるかわかんないことをたくさん言いましたけど、読み返してみるとやっぱり面白かったです
8点です

木工用ボンド
怒涛の伏線回収。ミルキーケースの中では一番好きですね
どうしてもボケがファンタジー一辺倒になるんで飽きが来るんですが、「食ったやつの能力を手に入れる」という設定が最後まで面白かったです。カービィじゃん
7点

藍殿TT
めっちゃ笑いました。個人的には 桃太郎部門優勝のネタを超えてきたなと。
ストーリー展開はまぁまぁ普通なんですが浮かぶ絵面がとにかくアホらしくて面白かったです。
なんでもスライムにしたら面白いってわけじゃないはずですけど全部良かったです。
それでいて 人語を話す奴は皆 人を喰ってるとかギャップの使い方と少年をワクワクさせる設定の作り方が流石でした。ごんスライムも見てみたいです。
10点


2-1-5
ジンガー


ガンバラナイズ 漫才/肉まん

小村:どうもガンバラナイズです。

五竹:あなたとコンビニ、五竹です。

小村:その肩書はファミマに返そうか。

五竹:コンビニの話なんだけどさ、俺コンビニで肉まん頼んだことなくて頼み方が分からないんだよね。

小村:普通に「肉まんください」って言えばいいよ。

五竹:うーん、ちょっと練習したいから小村さんコンビニの店員やってくれる?

小村:練習いるかな・・・まあ俺が店員で五竹さんが客ね。

五竹:あ、こんなところにコンビニが。肉まん食べたいな。
   ・・・すいませーん!!!肉まん一つくださーい!!!中の人聞こえてますかー!!!肉まん一つ

小村:入れ入れ!!店員のテリトリー外から注文飛ばすんじゃねえよ!!

五竹:あとトイレも貸してくださーい!!!

小村:尚のこと入れや!!

五竹:ウィーン。

小村:そう!

五竹:すいません、トイレ貸してください。

小村:どうぞ。いやどうぞじゃなくて!!肉まんは!!

五竹:あー、トイレは落ち着く・・・すいませーん!!!肉まんくださーい!!!

小村:そのタイミングじゃねえだろ!!なぜ遠くから頼もうとする!?あとトイレ中に注文する行為に抵抗を持って!?

五竹:難しいな。

小村:まずちゃんとやろうという意志が見えないんだけど!?

五竹:うーん、ピザまんはちゃんと頼めるんだけど肉まんがどうしてもなぁ・・・

小村:ピザまんはちゃんと頼めるの!!?え、違い何!?

五竹:気持ち的な問題かな。

小村:気持ちでそんな変わる!?え、じゃあちょっとピザまんでやってもらえる?

五竹:あ、こんなところにコンビニが。ピザまん食べたいな。
   ・・・すいませーん!!!ピザまん一つくださーい!!!中の人聞こえてますかー!!!ピザまん一つ

小村:いや肉がピザに置き換わっただけじゃねえか!!気持ちの影響ゼロだわ!!

五竹:すいませーん!!!豚まん一つくださーい!!!アンまんもくださーい!!!中の人聞こえてますかー!!!

小村:やめろやめろ!!種類の問題じゃないことはピザまんで証明されたから!!

五竹:うーん、ちょっと俺が店員やるから小村さん客やってくれない?

小村:俺が手本見せればいいのな。わかった。

   あー、今日は寒いなぁ。あ、コンビニあるし肉まんでも買おうかな。

五竹:肉まんですねー!!!?外のそこの人、肉まん一つでよろしかったですねー!!!?

小村:まだ頼んでないから!!地獄耳で外の注文捌かないで!?

   じゃあ入ろ。ウィーン。

五竹:いらっしゃいませー。ん?肉まんですか?

小村:言ってない言ってない!!

五竹:あなたの仕草、表情・・・肉まん一つ、ですね?

小村:いや心の中の注文まで捌いてこないで!?手本見たいなら黙ってて!?

五竹:店内18箇所に肉まん欲しいですスイッチを取り付けてますので、肉まんが欲しい場合は押してください。

小村:なんだこの肉まん推し推しのコンビニは!!
   ただそんなの無視だ無視だ。普通のコンビニと同じように普通に頼むからな。

五竹:ちなみに肉まん欲しいですスイッチで肉まんを頼んだ場合、肉まんの値段を半額にさせていただきます。

小村:いやこのコンビニは肉まんをどうしたいんだよ!?発注ミスったのか!?ゼロの数ミスったのか!?

五竹:トイレに設置してある肉まん欲しいですスイッチで肉まんを頼んだ場合、肉まんの値段を無料にさせていただきます。

小村:何を狙ったサービスだよ!?トイレから注文なんかしねえよ!!
   えーっと、飲み物と雑誌を持ってレジ前へと。
   すいません、これお願いします。

五竹:飲み物が1点。こちらの飲み物にぴったりの肉まんはいかがですか?

小村:五竹さん、手本見たいんだよね?

五竹:雑誌が1点。こちらの雑誌にぴったりの肉まんはいかがですか?

小村:五竹さん、手本見たいんだよね!?
   あと雑誌と肉まんにコンボ乗らねえよ!どの雑誌でもぴったり来ねえよ!

五竹:肉まんはいらないと・・・・・・・・・?

小村:間をたっぷり設けるな!!お前の間では頼まないからな!!

五竹:・・・ではこちら2点で

小村:あっ、すいませんあと肉まん一つお願いします。

五竹:・・・あ、聞こえなかったのでもう一度言ってもらえますか?

小村:肉まん一つお願いします。

五竹:・・・すいませんもう1回お願いします。

小村:急に聞こえなくなるなや!!冒頭耳めっちゃ耳良かったじゃねえかよ!!
   もしくは冒頭みたいに仕草や表情で読み取れや!!

五竹:マトリューシカのミルク煮ですか?すいませんそちらの商品は取り扱っておりません。

小村:そんなもの世界中の全店で取り扱ってねえわ!!肉まんだよ肉まんよこせよ!!

五竹:あ、肉まんですか。・・・肉まん欲しいですスイッチで頼めばいいのに。

小村:肉まんの頼み方の手本頼まれてんだよ!!誰が頼んだんだろうな!!

五竹:えーっと・・・すいません、肉まん売り切れです。

小村:いやたっぷり準備しとけやー!!!店内18箇所からバンバン頼まれてもいいだけ備えてろやー!!!

五竹:・・・小村さん、全然頼めてないじゃん。

小村:頼んだわ!!精一杯頑張ってちゃんと正攻法で頼んだわ!!お前の匙加減で売り切れだっただけだわ!!

五竹:まあでもだいたい分かったよ。

小村:まあ分かってくれたんなら良かったわ。

五竹:じゃあさっそく帰りに肉まん買おうと思います。
   帰り道のコンビニの店員さーん!!!!!肉まん一つお願いしまーす!!!!!聞こえてますかー!!!!!

小村:何も学んでねえ!!もういい加減にしろ!!

二人:どうもありがとうございました。


【コメント】 


トイレのスイッチを押せば肉まんが無料になるならば、オレなら迷わず押しますけどね……(笑)
アホなテーマですけど、これを上手に組み立てて押し切ったのは本当に素晴らしい
内容も本当にくだらなくて、アホな漫才見たなぁって感じです
店の外で叫ぶっていう光景を見ただけで笑えてきますね
8点です

木工用ボンド
「肉まんを外から注文する」とこは面白かったんですが、一個一個のボケがちょっとテンポ悪かったかなと思います
五竹が店員になってからの最初の数ボケが分かりやすくて良かったんでボケ縛るならこんくらいテンポいい方がいいかなと
4点

藍殿TT
コントに入ってからの1発目のボケで一気に持っていかれました。
勢いがあるし くだらなくて速攻で引き込まれました。
前半がすごく強かったですけど後半もしっかり高水準のネタで全体がとても面白いネタでした。
9点


2-1-6
ようこそ哲夫ワールド

コンビニ

哲夫:はいどうもようこそ哲夫ワールドです。私が哲夫でこっちがひろちょびさん。
   ゲスト出演ではなくこのたび正式に哲夫ワールドへ加入しました!なので戸籍を失います。

ひろ:そんなことは聞いてなかったんですけども。まあツイアカが残るならいいです。よろしくお願いします。

哲夫:最近はコンビニ業界がアツいですね。

ひろ:そうですね。特にファミリーマ麻、サテンイレブン、レーヨン。

哲夫:全部布じゃねえか。ファミリーマート、セブンイレブン、ローソンですよ。前2つは原形残ってるけどレーヨンはひどいだろ。

ひろ:一度漫才でコンビニの店員をやってみたかったんですよ。実際にはもう二度としたくないですけど。

哲夫:何かあったご様子。まあコンビニ店員は手軽そうに見えて激務ですからね。

ひろ:そうなんですホントに激務で…コンビニで働けと言われたら影武者を雇いたいですよ…。

哲夫:(激務の影武者、激武者………カッコイイけど言わんとこ)そうですか。

ひろ:ただ漫才なら自由にやれますからね。それでは私が店員をやりますので哲夫はブレーキとアクセルを踏み間違えて入店してください。

哲夫:普通に足でやってくるよ!哲夫はプリウスには乗らないし。
   最近、プリウスに乗ってる職場の上司が信号待ちしてたときに追突されて全損したんだけど、正直お前は追突する側だろと不謹慎にも思ってしまったよ。
   余計な話だったね、コンビニのコント始まるよ〜。





哲夫:ウイーン。

ひろ:いや、運転席の窓を開けたところで…。

哲夫:そのウイーンじゃないよ!入り口の自動ドアが相場ってものでしょうが。
   窓開けるならドライブスルーだよ!!!!!

ひろ:いらっしゃいませ。

哲夫:はいスルーね。どうせ哲夫車は車検切れですよ。重量税だけ持っていかれる運命…。
   肉まんとコーヒーとライターをください。

ひろ:肉マンコ開いたー、以上でよろしいですか。

哲夫:ウワーオよろしくないよ!小学生のころに流行ったネタぶちこんでみたけれども大人にマジで言われると見てられないよ!
   ニクマンコヒライッターというSNSアプリがあったとしてもアカウント凍結ものだよ!!!!!

ひろ:肉まん温めますかー?

哲夫:はいスルー!アカウントよりも心が凍結!よっしゃ冷凍保存権GET、地球よ滅べ〜〜〜!
   肉まん温めてください。

ひろ:はぁ〜 はぁ〜

哲夫:いや吐息で温めるんかーい!後ろにあるレンジ使えやーい!
   ちょっと待て肉まんは最初からあったかいだろ。何冷凍の出そうとしてんだ。

ひろ:すみません、こちらの保温トレーにあるやつは全て移植前の乳房なんです。

哲夫:それこそ冷やしておかなきゃいけないんじゃ…。
   なんでコンビニにそんなの置いてるんだよ。

ひろ:全摘されたご婦人がよく買っていかれますので。

哲夫:買うにしたって病院で買えよコンビニで買えちゃだめだよ!…病院で買えるかは知らないけども。
   まあそういうことなら移植用乳房はアイスの棚にでも入れておきなよ。たぶん冷えてた方が良いでしょ。

ひろ:貴重なご意見ありがとうございます。キンッキンに冷やしておきます。

哲夫:ジョッキじゃねえんだから!!!!!ここはビアガーデンかっつーの!!!!!乾杯だかおっぱいだかわからないっつーの!!!!!

ひろ:コーヒーはどちらのを。

哲夫:うん、どうせスルーされるだろうとは思ってたよ。哲夫は自信ある言い回しのあとにびっくりマークを重ね置くけど、今日はあまり結果が振るわないね。三振したよ。
   コンビニのカウンターコーヒー、実は買ったこと無いんですけどどう注文すれば?

ひろ:オススメは?とお聞きください。オススメをお出しします。

哲夫:選べないのか…。オススメは?

ひろ:ソイ抹茶ラテです。

哲夫:もっと一般ウケする種類が欲しかったよ。コーヒーですらないし…。哲夫はあったか〜いコ〜ヒ〜を飲みた〜い!

ひろ:肉まんとは飲み合わせが悪いですがよろしいですか?

哲夫:薬剤師みたいなこと言うなよ。肉まんとコーヒーで副作用なんてあるわけ…

ひろ:それがあるんですよ。口の両脇から垂直に切れ込みが入り、目と口がパカパカします。

哲夫:腹話術師みたいなこと言うなよ。あれ、声が、しゃがれているよ。夕べ呑み過ぎた〜〜〜!!!!!

ひろ:それではブルーマウンテンブレンドはいかがでしょうか。ピッ。

哲夫:無視した挙句に一番高いコーヒーを勝手にレジ通すのやめろ。
   あっそうだ、タバコもください。

ひろ:番号でお選びください。手前から1番2番…で最奥の棚に3億番があります。

哲夫:国立国会図書館かよ。国立国会図書館の蔵書、3億冊あるか知らんけど。
   仮にタバコが3億番目まで1個ずつ在庫があったとしてコンビニに入りきるのか怪しいわ。
   2億9999万9999番目のをひとつ!急いで!

ひろ:レジ横カウンターにございます。“そういう”注文をされる青臭いお客様が多いので。“そういう”注文をする哲夫…。

哲夫:ンアーーーッ!ごめんなさい!大学生ユーチューバーやメスのインスタグラマーみたいなことしてごめんなさい!出来心だったんです、ポッ。それは恋心やないかーい!!!!!

ひろ:お会計は1840円になります。

哲夫:いや地味に高いな。ブルマンが効いてるのかな…?あとさっきの恋心のくだりは消しといてください。
   すいません、ちょっとATM行ってきます。

ひろ:2000円にも満たない額を支払えずATMへ向かう哲夫…。

哲夫:うるさいうるさい!あまり現金は持ち歩かない主義なんだよ!クレカ決済ばかりなんだよ!
   クレカ5枚を毎月10日くらいには限度いっぱいに使っちゃうんだよ!使った時の記憶は無いよ!
   はい、2000円からお願いします。2000円札、久しぶりに見たな。2000円札が入ってるATM…。

ひろ:お釣りの160円は全部10円玉の方がよろしいでしょうか。電話、しますよね?

哲夫:みくびりやがって!公衆電話じゃなくスマホを使うよ!プルルルップルルルッはいもしもしソフトバンクさん、なんと!延滞により強制解約ですか!なるほど〜!なるほど〜!
   10円玉でください。

ひろ:どうもありがとうございましたー。冬を越せるか期待しておりますー。

哲夫:またのお越しをお待ちしておりますって言え!
   またのお越しを、お待ちしております、って言え!!
   冬、越せそうになかったらコンビニのトイレに寝泊まりするから平気だよ。

ひろ:タバコ置くスペースがデカすぎてトイレ無いんですよねウチ。

哲夫:そんなーーーーーっ。





ひろ:お付き合いありがとうございました。どうでしょう?ちゃんと店員できてましたかね?

哲夫:ちゃんとした客ができなくてごめんなさい………。





【コメント】


もうこの二人は正規のコンビってことでいいね
ひろちょびさんの扱いというかイジり方がどんどん洗練されています
ただ最初の10行が一番面白かったかなぁ
この爆発力を後半まで維持できれば哲夫の時代が来るはずなんだけどなぁ……
2000円払えないとかリアルなんでちょっと悲しくなりましたけどね
誰に何と言われようとこのスタイルで突き進んでほしいものです
報われるかはともかく
7点です


木工用ボンド
やりたい放題にしては乳房以外ボケが大人しかったかなー、と思いました
哲夫の長ゼリフで空回りしてるところが本当に空回りしてるだけになってたように見えてしまい
「冬を越せるか」のくだりは面白かったです
3点

藍殿TT
哲夫のツッコミ風ボケがことごとくハマってしまいましたね。
過剰なリアクションが内容までとてもユニークでした。
一貫して変なキャラが仕上がってましたし、単体でちゃんと面白い(1行で完結している) ボケでかなり良かったです。
独自性の高い設定じゃなくてもボケの力でここまで出来るんだぞというのを目の当たりにしました。
ひろちょびさんも本人の感じと違和感はありませんでしたね。
8点




inserted by FC2 system