2MRC(2本目)

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2-2-1 けうけげん 2-2-2 鋳☆いんがむ 2-2-3 8823 2-2-4 ジンガー 2-2-5 すじこ 2-2-6 ようこそ哲夫ワールド



2-2-1
けうけげん
純粋理性批判 コント/店長!ここは時給800円でどうすか


片平:いらっしゃいませー。ありがとうございますー、ジャンプが1点、260円になりますー。(ピッ)

遊佐:……………。

片平:はい、300円お預かりいたしますー、40円のお返しですー、ありがとうございましたー。
   ……………………と会計を終えて背を向けたところをエアガンでダーーーーン!!!!!(ガチャン)

遊佐:させるかぁ!!!店長ブロック!!!(バッ、ダダダダダ)
   お客さん、逃げて!!店長が盾になってる間に!!店長の体に穴が空く前に!!!

片平:くっ、店長どいてください!! アイツだけは、300円をイボイボのトレイの真横に置いたアイツだけは!!!

遊佐:撃つことねぇだろ! 確かにトレイ使わない客イラッと来るけど撃つことねぇだろ!
   とりあえず話があるからエアガン置け、ていうかエアガン折れ!!砕け!!

片平:話?何すか、あ、商品のカラムーチョ勝手に食べたの俺じゃ無くてエクアドル人バイトのムバンガさんですよ!?

遊佐:それじゃねえよ!!ムバンガさんには後で店長ニードロップ喰らわせとくけど!
   片平君さぁ、ウチのコンビニで働きはじめてもう半年だよね!?

片平:そうでしたっけ?えーっと、俺が初めてヤギの乳搾りをしたのが7ヶ月前だから……。

遊佐:何を記憶の基準にしてんだ!!ウチで働く1ヶ月前に何してんだ!!
   半年も働いてるのに全っっっっっっっっっっ然仕事出来ないよね!? 全っっっっっっっっっっ然!!
   『っっっっっっっっっっ』なんて相当怒ってないと出ないからね!? レアだよ!? おめでとう!!

片平:いや、全っっっっっっっっっっ然は言い過ぎですよ店長。中華まんの出し入れに関しては完璧ですよ。

遊佐:んなもん覚えたうちに入らねえんだよ!! 湯気に慣れれば猿でも出来んだよ!!

片平:あ、それ前のバイト先の店長が実際にやって試してましたけど、猿にはムリでしたよ。

遊佐:実証済みかよ! 猿との比較を試されてる時点で恥ずかしがれよ!

片平:猿のヤツ、ピザまんとあんまん間違えて出してんですよ。ぷぷぷ、笑っちゃいますよね。

遊佐:惜しいとこまで来てんじゃねぇか!! むしろ俺は猿の将来性に賭けたいよ!!
   それでさ、もう3月だろ? 中華まんのシーズン終わるぞ!? お前に何が残るんだ!

片平:正義感……ですかね。

遊佐:技術で魅せてくれよ!! お前の内面的魅力は加味しようがねぇんだからさぁ!!
   そんでその正義感の結果がエアガンだろ!? お前正義を履き違えてんだよ!!

片平:いや、でも店長!!ここでお客さんを撃たなきゃ、僕は誰を撃てばいいんですか!!

遊佐:撃つなよ!! 誰1人として撃つなよ!!
   コンビニに勤めて狙撃のテクニック必要なタイミング永遠に来ねえよ!!

片平:そんな……ここでこそ僕のサバゲー大会4年連続優勝の実力が活かせると思ったのに……。

遊佐:無駄に凄えな!!そのスキルはサバゲーでのみ活かせ、日常では殺しとけ!!
   ハァ、それでだ……片平君、中華まん出し入れする時と客撃つ時以外はだいたい伝票丸めて遊んでんじゃん……。

片平:それは誤解ですよ、丸める以外にも紙飛行機とか作ってますよ。

遊佐:遊びの種類が問題じゃないんだよ、遊んでることそのものが問題なんだよ!
   それだけじゃないよ、君と同じシフトの高橋さんから「片平君が執拗におっぱい揉もうとしてくる」って苦情が来てんだよ。

片平:それもまた誤解です! 僕はおっぱいを揉みたいんじゃない、さすりたいんです!

遊佐:知らねえよ! テメェのセクハラにおける流儀は知らねえよ!

片平:というのもね、僕は高橋さんのおっぱいが豊胸なんじゃないかと疑ってるんですよ。
   豊胸は自分や他人を騙す悪しき行為ですからね! そういうのはねぇ、許せないんですよぉ!!

遊佐:どこで燃え上がってんだよお前の正義感! まず自分の怠慢に怒れよ!
   ともかく、キミみたいな狂人店員、これ以上雇ってらんないんだよ。

片平:え、まさかクビですか!?
   勘弁してください、この店以外に「日本人」という理由だけで雇ってくれる店無いんですよ!

遊佐:心配しなくても辞めさせねぇよ、現在ウチの店員はキミと高橋さん以外エクアドル人だ。
   これ以上店員の国籍に偏りが出ると乗っ取られそうな気がするからな……。

片平:ホントですか!? 良かった、まだ高橋さんとエクアドル人あるあるで盛り上がれる……。

遊佐:だが、これ以上キミの何の根拠も無い伸びしろに期待するわけにはいかない。そこで……。

片平:そこで? 何ですか、そこであえてキミを唯一神として崇めようみたいな……。

遊佐:そこで、キミの脳を多少イジらせてもらうよ。

片平:

    ……………ふぁい?

遊佐:キミの脳をイジって、仕事を覚えられるようなグレートな店員に改造する。
   心配するな、多少脳をイジる程度の施術ならキミの頭皮をモミモミってやる程度で終わる。

片平:………「店長がぶっ壊れた、なう」っと……。(ぴっぴっ)

遊佐:1年ほど前、世界征服を企む悪の組織「地獄のイボイノシシ」が、
   カモンライダーというヒーローによって壊滅したというニュースは知っているだろう。
   俺はな、そこで怪人を生み出す科学者をしていたんだ。壊滅直前、命からがら逃げ延びたがな……。

片平:うわっ、マジかよ。もうリツイートされてるよ。
   なになに、「ぶっ壊し大好きbot」……何だコイツ、フォローっと……。

遊佐:怪人を生み出すための設備は失われたが、手術の腕と野心は失われることは無かった。
   組織を復活させたい、しかしそのためには資金と人員が足りない。
   そこで俺は資金を稼ぐために、ここでコンビニの店長として働いていたのさ……。

片平:あ、何の話でしたっけ。エクアドル人は商品の陳列が意外と上手いって話でしたっけ。

遊佐:エクアドル人あるあるはしてねぇよ! よく聞き流せるなこの急展開を!
   とにかく、お前の脳をイジくり回してやろう! ヒヒ、腕が鳴るぜぇ……!!(ワキワキ)

片平:あ、そろそろ休憩終わりだ。ムバンガさーん、交替でーす。

遊佐:余裕がすげぇな!? ここでお前の正義感を燃やせよ!!
   とにかく大人しくイジらせろ! さもなくばお前の時給を柿の種にするぞ!

片平:ちょ、それは勘弁してくださいよ、前のバイト先の二の舞じゃないっすか。

遊佐:すきありぃぃぃぃぃ!! これよりオペを開始するぞいヒャッハー!!(もみもみ)

片平:しまっ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)

遊佐:イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)

片平:あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!
   ……ハァハァ、正義感ごともみほぐされるかと思った……。

遊佐:ヒッヒ、施術は完了だ……生まれ変わった気分はどうだい、片平君……!!

片平:ハァハァ……な、何が生まれ変わっただ、何も変わってないエンスストア!!

遊佐:ヒャッハァァァァァハッピィ―――バースデェェェ―――――イ!!!
   そのわけわかんない語尾こそキミが生まれ変わった証だよ!!
   感じるだろう、新たに芽生えたチカラが!!

片平:な、何だエンスストア、この溢れ出る労働意欲はエンスストア!?
   今の僕なら中華まんだけじゃなく、唐揚げ串も出し入れ出来そうだエンスストア!!

遊佐:それだけじゃない、今のキミなら時給30円で800円の時と全く同じモチベーションで働ける!
   素晴らしいだろう!? これが、改造店員2号となったキミのチカラだよ!!

片平:2号……ハッ、き、貴様まさか、高橋さんを……!!

遊佐:ご名答! 高橋さんが今まで語尾に「コンビニ」を付けていたのは、俺が脳をイジったからさ!

片平:な、なんだってエンスストア……!! 岐阜辺りの方言じゃなかったのかエンスストア……!!

遊佐:ちなみに高橋さんのおっぱいをIカップにしたのも俺の仕業さ!!

片平:貴っっっっっっっっっっ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
   高橋さんの童顔は微乳こそが似合うエンスストア!!!
   デカけりゃいいなんて愚の骨頂エンスストアァァァァァっ!!!(ドーーーン)

遊佐:だからなんでお前の正義感はおっぱい関連でしか発揮されないんだ!! 「っっっっっっっっっっ」を無駄遣いするな!!
   とにかくお前のその力、ウチの店のために使ってもらうぜぇ……!?
   地獄のイボイノシシが蘇る日も近そうだぜ!! イーッボイノシッシッシ!!

片平:くっそ店長め、お前の好きにはさせないエンスストア!
   そうだ、俺にはエアガンがある!これで貴様を撃ち抜き、高橋さんをAカップにしてやるエンスストア!!(ガチャン)

遊佐:あ、さっきのジャンプのお客様。いらっしゃいませー。

片平:何!?よくもまあぬけぬけと!
   此処であったが100年目、2度とジャンプをめくれない体にしてやるエンスストア!(くるっ)

遊佐:すきありぃぃぃぃぃっ!!!(もみもみ)

片平:しまっ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)
   あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!(びくんびくん)

遊佐:イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)
   イ―――――ッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒ!!!!!(もみもみ)

片平:あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!
   はあはあ……ちくしょう今に見ていろ店長、必ずやお前の胃袋をBB弾で満たしてやるエンスストア!!
   とりあえず今は大人しく働いてやるエンスストア! そう、お金を貯めて、いつの日かスーパーカーを買うために!

遊佐:こうして店長の手によっていい感じの店員にされてしまった片平!!
   一体どうなってしまうのか!! 店長のキャラは最終的にどんな感じで落ち着くのか!!

片平:来週『時給30円戦士カタヒライダー』第2話、『ぶっ壊し大好きbotの正体はムバンガさん!?』
   次も見ないと、エクアドル人の数が2倍になるエンスストア!!




 【コメント】

どっかで審査した覚えがあるなと思ったら奇想杯でした
その時よりも前半に肉付けをしてボリューミーな内容に
奇想杯の時は後半に店長がぶっ飛んでしまったのが残念みたいな審査コメントしてるんですけど、いま改めて審査したら全然悪くない。むしろぶっ壊れないと物足りないみたいな、私のいい加減な部分が出てしまう感じに
ワードごとのセンスが光っていてとても良かったと思います
8点です



木工用ボンド
詐術されてるところの表現最高ですよね。ふざけるならこんくらいやらないと
コンビニコントあるあるみたいなベタなボケもありましたけど、「正義感」とか「美乳こそ似合う」とかけうけげんらしいフレーズでカバーしてたと思います
8点

藍殿TT
片平のヤバさを楽しむネタかと思いきや、途中でガラッと流れが変わりましたね。予想外の展開でした。
なかなか普段聞かないような単語が出てきたりで言葉選びが凝っているなと思います。
猿との比較が実証済みとか面白かったです。
展開は抜かりないですが、ボケの水準的には少し物足りない感じがしました。
7点


2-2-2
鋳☆いんがむ


晴耕雨読 コント/魔王の城にて

(ピンポーン)

晴耕:(ガラガラガラ…)誰?

雨読:勇者でーす。魔王倒しに来ましたー。

晴耕:お前かー!!

雨読:えっ、何、いきなり!?

晴耕:お前はタカハシ王国のゴーセツ国王の命を受け、魔王様を倒しに冒険へ出た。そうだな?

雨読:はい。

晴耕:旅に出たの何年前だ。

雨読:42年前です。

晴耕:かかりすぎだろ。途中多めに泊まっても数十日あれば着くだろ。実プレイ時間で言えば数十時間で足りるわ。

雨読:実プレイ時間?

晴耕:あまつさえ42年て。日本語で言えば「死に」じゃん。

雨読:日本語?

晴耕:なんだってこんなにも時間を要したわけ?

雨読:途中泊まってた宿屋の娘とデキちゃって、「やべえ責任取らなきゃ」って。

晴耕:リアルに「ゆうべはおたのしみ」したのかよ。

雨読:ゆうべはおたのしみ?

晴耕:それで勇者の役目を放り出したと?

雨読:やっぱ家族養うには勇者よりも安定した職業じゃないとと思って。
   村で就職したから結果的に討伐は後回しになったというか。

晴耕:控えめに言って馬鹿じゃないの?

雨読:だって嫁さん、コミュ症でパーティーのいなかった僕にも温かく接してくれたんですよ。

晴耕:だよなー、パーティーいれば誰かしら「魔王倒した方がよくね?」って言うよなー。
   つーかコミュ障の勇者て。

雨読:それで子供が自立して、これから何をしようとなった時に
   「そういえばあなた、若いころ魔王退治目指してたんでしょ。今からやってみれば?」って言ってくれて。

晴耕:なに老後の趣味感覚で腰上げてんだよ。お前にとっては元々それがマストなタスクなの!

雨読:それともうすぐ孫が産まれるんですよ。

晴耕:勇者(現在進行形)の、孫!

雨読:収入に関してもこれからは年金で暮らしていけるし。

晴耕:勇者が年金納めてたのかよ。

雨読:実際、今まで魔王軍が攻めてきて人間界が支配されることもなかったし、特に慌てる理由がなかったんすよね。

晴耕:あのな、人間界を攻めて城のセキュリティが手薄になってるところに来られるのを警戒して、守備にステータス振ってたの。
   しかし待てども待てども来ない日々が続いて42年。魔王様「こんなならさっさと世界征服すればよかった」って漏らしてたよ。

雨読:よかったですねえ、これで報われましたよ。

晴耕:――魔王様死んだよ!

雨読:えっ?

晴耕:表に「忌中」って出しといたの見てないの? それとも他の誰かが死んだと思ったの?

雨読:キチュー? …僕、外国語はさっぱり読めないんだよね。

晴耕:3日前よ?魔王様が亡くなったの。
   それでてんやわんやしている所に「サイショノ城が陥落しました!」って報告入って「このタイミングで!?」って思ったのが昨日だから!
   昨日の今日でお前が来たの! 42年間待たせておいて!

雨読:いざ冒険に出たらもうサクサク進んじゃって。家族養ってる間の経験値が生きたというか。

晴耕:そりゃそうだろうな。ウインドウ見る限りお前のステータス、カンストしてるもん。

雨読:カンスト?

晴耕:こちとら中ボス幹部ずっと持ち場で待機してたから軒並み歳食って鈍ってたよ。

雨読:この伝説の剣、使うまでもなかったなあ。

(ボロボロ)

晴耕:いや、剣錆びてるし。

雨読:しかし魔王の脅威が去ったと分かれば国王様も喜んでくれる。

晴耕:国王ってゴーセツ国王?

雨読:他に誰がいるんですか?

晴耕:ゴーセツなら死んだよ。

雨読:えっ?

晴耕:ゴーセツ国王――いや、前国王――も今年に入って死んだ。知らなかったのかよ。

雨読:僕、瓦版とか読まないからなあ。

晴耕:情弱かよ。

雨読:情弱?

晴耕:まさか前国王も国の平和を見届けられずに死ぬとは思ってなかっただろうよ。

雨読:そういやこの前、誰だかの国葬があるって噂を聞いたけどあれがゴーセツ国王だったのかも。

晴耕:かもじゃなくてそうだよ。

雨読:今更だけど出席しとけばよかったなあ。

晴耕:お前控えめじゃなく馬鹿だな。一体何の経験値を積んできたんだよ。
   さあもう帰った帰った。

雨読:えっ、最終決戦しないんすか?

晴耕:こっちは喪中欠礼を各所に送るのに忙しいんだよ。

雨読:喪中欠礼?

晴耕:遺品整理もしなきゃいけないけどスマホのデータとかパスワードわからなくて困ってることも多いし。

雨読:スマホ?

晴耕:それに魔王様には相続する身寄りがいないから遺産が宙に浮くし、
   現物主義で現金の資産をほとんど遺さなかったないから、下手すりゃこの城も相続税の問題で手離すかもしれない。

雨読:相続者を探したいなら家庭裁判所に申告して相続財産管理人を立ててもらってみてはどうですかね?
   特別縁故者が見つかればその人に相続させられますし。
   それにここは交通の便が悪くて城も古いから広さの割に不動産価値が低く、宝物等の動産での物納が可能かも。
   納付税額自体も基礎控除額を差し引けば案外少なく収まるかもしれませんし。
   まずは土地の相続税評価額等の算定を税理士にお願いしてみては?

晴耕:なんだよ急に詳しくなったな、おい。

雨読:この前まで村役場の税務課で働いてたんで。

晴耕:いや、安定した職!


 【コメント】

なかなか勇者が魔王を倒しに来ないという設定はベタといえばベタですが、テンポよく、さくさくしたセリフのやり取りやツッコミの気持ちよさで最後まで飽きずに楽しく読ませていただきました
勇者が難しい(もしくは理解できない)単語をちょいちょい聞き返すのをどこで拾ってくるのか期待したんですけど
最後のオチに少しだけ使う回収のやり方はちょっともったいないかなぁと思いました
6点です



木工用ボンド
二本とも「本拠地に行くまでが長い」を主軸にしてましたが、こちらの方がリアリティあって面白かったです
最後の急に詳しくなるところはフリ効いてて面白かったんですが、勇者が言葉が分からなくてとぼけるところの回収がそこ以外なくて行数損してたかなー、という印象です
5点



藍殿TT
面白いは面白かったんですけど、もうちょっと面白い部分を強調した方が良いかなとも思いました。
勇者に通じてない単語のこととか 魔王側が喪中欠礼送ってたりとかそういう部分がサラッと流れていて勿体なかったかなと。
話はちゃんとまとまってましたしオチもちゃんとついていて良かったです。
7点


2-2-3
8823

Bさわ/キジが気づいた


鬼との闘いは、遂に終わりを迎えました。
棍棒を振り回す奴らの攻撃を、僕たちはかわし、逆に相手への攻撃の手は緩めないよう、懸命に闘いました。
イヌさんは噛み付きの連続で歯が何本か折れ、サルさんも引っ掻きで指は赤く染まっていました。
何より、桃太郎さんは鬼が島なのに誰よりも鬼気迫る立ち振る舞いを見せ、鬼たちに切りかかっているのでした。

「降参だぁ!もう許してくれぇ!!宝物は全てお返しします!!」
鬼の親玉である赤鬼が、手をついて謝ってきた時、僕はようやくすべてが報われたように感じました。

イヌさんとサルさんは手を・・・いや、前足を取り合って喜んでいます。
犬猿の仲と言う言葉も、今は通用しないでしょう。
そして、刀を鞘に収めた桃太郎さんも、ようやく安堵の表情を浮かべたのでした。

「みんな、よくやった!!」
振り返ってみた、きびだんご一つで、こんな命がけの戦いをするとは思わなかった。それでも、ここまでの旅路を後悔することはないでしょう。
僕は、喜びで空高く飛び上がりました。トンビよりもタカよりも、何なら雲や星よりも、高く飛べる気がしました。
鬼が島の上空から見える水面は、僕たちを祝福するように輝いていました。


乗ってきた船無くなってるじゃねえか。


あっれ?・・・確かあの東の砂浜に着岸したんだよな・・・?
あの背の高い松の木のそばに船を着けて・・・。

あぁ・・・潮が満ちてるんだ・・・。
僕たちが乗ってきた船の櫂が松の木に引っかかっているのが見えました。

え?・・・え?どうすんのこれ?


帰れねーじゃん。

いや、僕ぁ帰れるよ?飛べっから?
でも他三名は飛べねーよ?泳げっけど多分途中で息絶えるよ?

っつーか僕だって例外じゃないよ?船で乗り込んだくらいの距離だったんだし、飛んで帰れる保証一寸もないよ?

高く飛べても、本土までの距離は残酷なまでに遠いのでした。高度は距離を埋めることはできないのです。鬼が島にたどり着いた時よりも、僕はただ、悲観にくれたのです。

「よし、この金銀財宝を船に積み込むぞ!」

やっべ。何も知らない桃太郎さんたちがお宝を運び始めてっし。
どーすんべな・・・いや、これは早いところ言った方がいいよね。潮の満ち引きまで把握できてなかった全員が悪いんだし。
地上に降り立った僕は、意を決して桃太郎さんに報告しました。

「桃太郎さん桃太郎さん、僕たちが乗ってきた船なんですが、潮が満ちたせいでどこかに流されてしまいました!」

生きた心地のしない間。ピタリと止まったイヌさんの振っていたしっぽ。混乱したサルさんが毛繕いをはじめ、瞳の輝きの消えた桃太郎さんがポツリ、呟きました。

「俺は島に上陸した時、船と松の木を縄で縛っておくように言ったが、どうなんだ?サル?」

目線を落とすイヌさん。

「いや、あの、イヌさんが縄を咥えていたし、イヌさんがやるものだと思って・・・。」
「ちょ、待ってくれよ。確かに僕が縄を咥えていたけど、僕の前足じゃ縄を結ぶなんてできないよ。それだからサルさんに頼んだんですよね?」
「っていうか、僕、縄、結びましたよ?誰かがほどいたんじゃないっすか?」

見苦しい言い訳をするサルさんと、責任を一片も担わずに逃れようとするイヌさん。一緒に旅をしてきて分かったんだけど、彼らにはこういうところがある。

「・・・連帯責任だ。」

桃太郎さんは、絞り出すように、ただ、僕たちに届くよう発しました。
確かに、桃太郎さんにも責任がないわけではありません。上に立つ者として確認をするのは義務であり、責任でもあります。
そして、僕もまた例外ではありません。

「桃太郎さん、僕も悪かったです。僕が、鬼たちが逃げれないように奴らの船を燃やしましょうなんて言わなければ。」

焦げ臭い風が、僕の後悔をどこまでもくすぐるようでした。鬼の退路を絶ったつもりが、まさか我々の首を絞める結果となるとは。

「仕方がない。帰る案はまた考えよう。それまではここで暮らそうじゃないか。」

その時の、鬼たちのぎょっとした顔を、僕は一生忘れないでしょう。

自分たちを討伐してきた相手が、自分たちの島に住みつくだなんて。
年初めに正月と盆が一気に終わったような心情だったのではないでしょうか。

「そ、そうしましょう!桃太郎さん!さすが、切り替えが早いですね!」

長いものには、糸巻きよりも巻かれる。イヌさんには、こういうところがある。

「じゃあ、とりあえず船を造ることも考えないといけないですよね。そのためには木材を仕入れないと・・・誰か船を造るのに適した木が生えているところに案内してくれないかな〜・・・?」
「さ、サル様、こちらになります!この青鬼めが案内させていただきます!」

弱いもの、立場の低いものにはとことん強い。サルさんにはこういうところがある。


と言うか、鬼と呼ばれている彼らはどう見ても鬼には見えないんだよなぁ〜・・・。
何か、普通の人間がそれっぽく振る舞っているようにさえ思えました。そうでないと、僕ら位の戦闘力で倒せる相手とは思えません。
上陸したとき、ここは本当に鬼が島なのかどうかを疑うレベルで、彼らは鬼に見えないのでした。

何はともあれ、僕たちはしばらくの間、鬼が島に住みつくことになりました。

まあ、最初から分かっていたことなんですが、素人の集まりで船が作れるほど甘くはありません。
それでも、時間をかけて、鬼(仮)たちの知恵を借りて、失敗を繰り返しつつ、船造りはゆっくりと進んでいきました。
相変わらず桃太郎さんは統率を取り、イヌさんは彼に従い、サルさんは元々の島民をこき使うのでした。三つ子の魂百まで。であったのはここ最近ですが。


その間に分かった事なんですが、鬼(仮)たちも、思っていたほど悪い奴らではないらしく、「鬼が島」という島の空気が彼らを人里に仕向けているようにさえ感じました。
聞くと、元々は本土出身の奴ばかりで、鬼が島に住むうちにこうなってしまった者も少なくないようです。
彼らの生い立ちを聞いて、少し同情の余地もあるな。そんな風に思えるほど僕たちは鬼(仮)に同情していました。
しかし、「どうしてこんなところに移り住んだんだ?」この質問には皆、口を閉ざしてしまうのでした。


気が付けば、完成した船で人里に乗り込むこともありました。
金銀財宝の山を船に積み込むことの面白いこと面白いこと。

郷に入り手は郷に従え。鬼が島に長く住みついた以上、僕たちは鬼の役回りを果たすのは必然なのかもしれません。
桃太郎一味が鬼側につくだなんて本末転倒に思えますが、桃太郎さんなんて寧ろ新しい赤鬼の地位に収まろうかと言う勢いでした。満ち溢れる、やる気、殺気。


そんな愉快な日々、水を差す招かれざる客がやってきました。

「やい!鬼どもめ!俺たちが貴様らを懲らしめてやる!!」
勇ましい叫び声が、焦げ臭い風に乗って響きました。

気づいた。あ、鬼が島は、こうやって作られるのか。


 【コメント】

キジ視点の桃太郎って斬新だなって思いました
文章力が素敵で、本当に面白かったです
笑わせるのが難しいスタイルのネタでしたがその壁を乗り越えてきたなと思いました
欲といえば犬、サル、桃太郎のキャラをもう少し大味に出してくれてもよかったかなと思います
8点です



木工用ボンド
やりたい事は分かるんですが、淡々と語りすぎて道徳の教科書みたいになってしまったかなと思います。きれいなオチで尚更
鬼がなぜ鬼ヶ島にきたのか、そもそと船完成したならなぜ帰らなかったのかというモヤモヤした部分もありました
3点

藍殿TT
読み物としてなかなかに面白い作品でした。
この内容をキジの一人称視点で描くというのも周りとは一線を画していて良かったです。
淡々と読み進められてしまったので、笑いやすい雰囲気づくりという点では少し物足りなく感じました。
7点



2-2-4
ジンガー

ガンバラナイズ 漫才/桃太郎 フルver.


小村:どうもガンバラナイズです。

五竹:小村さんさ、皆が知ってる桃太郎って所々省略されてて、もっと長い「フルバージョン」が存在するって知ってた?

小村:あ、そうなの?話しやすい長さに調整されてるってことかな。知らなかったな。

五竹:俺一時一句間違えず覚えてるからここで話すわ。

小村:ノーマルのでもそんなちゃんと覚えらんねえよ。

五竹:むかーしむかしむかし、

小村:むかし多い!いやそんなとこから省略してあんのかよ!

五竹:あるところに、おじいさんとおばあさんと、幽霊がいました。

小村:何か憑いてるんだけど!?

五竹:毎日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に、幽霊は街へ復讐に、三人仲良く暮らしていました。

小村:なんかやばそうな幽霊憑いてるし、おじいさんおばあさん仲良くしちゃってるんだけど!?

五竹:ある日のこと、おばあさんが川で洗濯していると、川上から大きなグレープフルーツがどんぶらこどんぶらこと流れてきました。

小村:なんか変なの流れてきたなぁ!?

五竹:おばあさん、これを華麗にスルー。

小村:だよな!桃じゃねえもんな!グレープフルーツ太郎になっちゃうもんな!

五竹:4年後のある日のこと、

小村:めっちゃ飛んだな!?

五竹:おばあさんが川で洗濯していると、川上から大きなドラゴンフルーツがどんぶらこどんぶらこと流れてきました。

小村:違うなぁ!まず絵面が分かんねえなぁ!

五竹:おばあさん、これを迷いながらスルー。

小村:迷うな迷うな!ドラゴンフルーツ太郎になっちゃうから!かっこよさそうに見えて思いっきりフルーツ入っちゃってるから!

五竹:4年後のある日のこと、

小村:だから飛び過ぎじゃない!?なんでオリンピックの開催スパンで飛ぶんだよ!もうおばあさんの年が心配になってくるんだけど!?

五竹:おばあさんが川で洗濯していると、川上から大きな桃がもんぶらんもんぶらんと流れてきました。

小村:それ栗じゃない!?桃かと思いきや音が栗のケーキのそれじゃない!?

五竹:おばあさん、これに気付かずスルー。

小村:気付いてあげて!?気付いた上でスルーしてあげて!?

五竹:16年後のある日のこと、

小村:またすっげえ飛んだな!?というかこれ3回分飛ばしてない!?フルバージョンですらカットしてない!?

五竹:おばあさんが川で洗濯していると、川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。

小村:そう!それを待ってたんだよ!

五竹:おばあさん、ここで寿命を迎えてしまう。

小村:飛ばすからー!!オリンピック6回分も飛ばすからー!!
   いやこれおばあさん死んじゃったら話つながらないよね!?バッドエンドだよね!?

五竹:100メートル下方で洗濯していた別のおばあさんが大きな桃を家に持って帰りました。

小村:シフトしたー!!いやここまでの話全部無駄になったよ!?無駄だったのが、さらにだよ!

五竹:おじいさんとおばあさんとおばあさんの幽霊が桃を食べようとしていると、

小村:死んだおばあさんついてきてんじゃねえか!仲良く桃いただこうとしてるし!

五竹:桃が割れ、中から元気な赤ん坊が出てきました。

小村:まあ無事桃太郎が生まれるとな。

五竹:3人はこの子に「スーツケース田中」と名付け、大事に育てました。

小村:スーツケース田中て!!スーツケース田中て!!

五竹:すくすくと元気に育ち、「桃太郎」に改名したスーツケース田中はある日おじいさんとおばあさんとおばあさんの幽霊に言いました。

小村:しれっと軌道修正してんな!?あとおばあさんの幽霊居座っちゃってんな!?

五竹:「立派なスーツケース屋になるために、ニューヨークにスーツケースの勉強に行きたい」

小村:改名しときながら意志継いじゃってんじゃねえよ!!鬼退治だろ!?

五竹:4年後のある日、おばあさんが川で洗濯していると川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと

小村:ここに来て別の桃!?え、スーツケース田中はニューヨークへ行かせといて別の桃で話進めんの!?

五竹:おじいさんとおばあさんとおばあさんの幽霊とおじいさんの幽霊が桃を食べようとしていると、
   桃の中から元気な赤ん坊が出てきました。

小村:なんかひっそりと最初にいたおじいさんも死んでない!?ひっそりと居付いてない!?

五竹:4人はこの子に「ボストンバッグ富岡」と名付け、大事に育てました。

小村:改名された失敗を経てもおじいさんの幽霊が名付けに加わってもネーミング変わんねえな!?
   ネーミングセンスズタボロなのに絶対に譲らねえやつ一人いるな!?

五竹:すくすくと元気に育ち、「桃太郎」に改名したボストンバッグ富岡はある日4人に言いました。

小村:ほら改名された!!二人目の桃太郎になっちゃったよ!!

五竹:「立派なボストンバッグ屋になるために、ニューヨークにボストンバッグの勉強に行きたい」

小村:そこはボストンにしとけよ!いや鬼退治にしろよ!

五竹:4年後、

小村:これまた次の桃太郎行くでしょ!?オリンピックスパンで雑に桃太郎誕生させるのやめて!?

五竹:拾ってきた大きな桃をおじいさんとおばあさんとおばあさんの幽霊とおじいさんの幽霊と幽霊の幽霊が桃を食べようとしていると、
   桃の中から元気な赤ん坊が出てきました。

小村:幽霊の幽霊!?え、流れ的に最初の家にいた幽霊だよね!?最初いた幽霊が死んで幽霊になったってことだよね!?
   いやそれ死ぬ意味ねえよ!!幽霊の死=成仏であれよ!!生まれ変わっちゃってんじゃねえよ!!おい!!

五竹:5人はこの子に「鬼殺し猪狩」と名付け、大事に育てました。

小村:ネーミング相変わらず血迷ってんな!!鬼退治してくれそうなネーミングだから良かったと前向きに捉えようかな!!

五竹:鬼殺し猪狩はグレて、ニューヨークへ行ってしまいました。

小村:鬼退治しろや!!改名した後に意志を継ぐルールに従えや!!
   いやちょっと五竹さん、終わりが見えないんだけど!?ループ激しすぎない!?

五竹:大丈夫もうすぐ終わるから。

小村:本当?信じるからな?じゃあ続きお願い。

五竹:その後、ニューヨークから帰ってきた元スーツケース田中こと最初の桃太郎の幽霊が鬼退治をし、14人は平和に暮らしましたとさ。

小村:終わった!!急に雑に終わったし、スーツケース田中死んで幽霊状態で鬼退治行ってるし、人多い!!
   多分もう何人か桃太郎誕生してる!!

五竹:と、こんな感じ。

小村:いやフルバージョンなのに大事なとこカットしまくってるし話無茶苦茶じゃねえか!!いい加減にしろ!!

二人:どうもありがとうございました。




 【コメント】

一字一句が一時一句になってるのは残念なポイント
ボストンバッグ富岡とか鬼殺し猪狩とかネーミングセンスが抜群ですね
序盤の果物の流れもセンスの良い果物を出していると思います

ただ基本的には同じような流れの繰り返しになってしまっていてもう少し展開してほしかったかなと思います

6点です



木工用ボンド
天丼につぐ天丼。幽霊の幽霊がめっちゃ面白かったです
後半繰り返しが面白くなる分、ちょっとスロースタートだったかなあと思いました。序盤から飛ばしてると後半の繰り返しで胃もたれ起こすかもしれないんで難しいですけど
6点

藍殿TT
幽霊の死=成仏であれよとか特徴的なフレーズが出てきましたね。
省略してないと「むかし」が一個多いとか良いスタートでした。
以降も面白いは面白いんですが、桃太郎の縛りに囚われすぎてちょっと跳ねきれなかったかなあという印象です。
面白いは面白いんですけどね。
7点


2-2-5
すじこ


桃太郎の攻略本

おじいさんとおばあさんは、むかしむかしあるところにいましょう。

おじいさんも川へ洗濯に行きましょう。
芝は川の近くでも刈れます。

川の上流に行きましょう。
この年、洗濯が大流行しており、下流では洗濯待ちが発生しています。

巨大な桃が流れてくる気持ち作りをしましょう。
巨大な桃が流れてくることを想定せずに巨大な桃が流れてくると、人は冷静でいられず、女性は時折ヒステリックになります。
おじいさんはそっと寄り添いましょう。

桃が流れてくるのを確認後は桃の漂流音をOFFにしましょう。
本来無い効果音です。

桃はかなり重いです。
桃の搬送用に飛脚を頼んでおきましょう。
(桃30個分と仮定すると、桃1個:約250g×30個分+男子の平均出生体重3230g=約11kgとなり、
これは世界最小のアルマジロであるヒメアルマジロ約110匹分に相当します)

持ち帰った桃へは隠し包丁を入れておきましょう。
割れ方が華やかになります。

外で切りましょう。
桃の汁で家がベトベトになります。
旬をなめてはいけません。

中に居ることを察しましょう。
ゲームオーバーにしてしまうことがあります。

名前は仕様上、桃太郎しか受理されません。
諦めましょう。

それでも、すくすくと育ちましょう。

鬼退治宣言は自分から言わないようにしましょう。
早めの正義感は体力的に不利です。
時が来るとおじいさんがそれとなく言ってきますので、しばらく粘って嫌々旅立ちましょう。

おばあさんにはきびだんごをできるだけ作ってもらいましょう。
日本一のきびだんごなので1つ食べるとレベルが1上がります。

装備を整えてから旅へ出ましょう。
おばあさんの用意してくれる着物の守備力は0です。
すぐに売って鎧を買うと良いです。
着物は村外れのバカな質屋で高く売れます。
ただし、一度着ると価値が下がるので、
「ばばあの選んだ服なんか着れっかよ!」と思春期な発言で逃げましょう。

日本一の旗はその辺のうどん屋にでもあげましょう。
持っていると村人たちに根拠を聞かれます。

しばらく進むと芝犬がいますが、仲間にしないようにしましょう。
後でダイヤウルフが仲間にできなくなってしまいます。
(イチジク村で「俺は見ちまったんだ!銀色に輝く幻の狼を!」という話を聞く。)

さらに進むとサルがいますが、仲間にするのはやめましょう。
夜とかうるさい。

さらに進むとキジがいますのでたくさん仲間にしましょう。
キジはダイヤウルフの餌になります。
逆にここで仲間にしないと桃太郎が食べられるのでゲームオーバーです。
ちなみにダイヤウルフはきびだんごを食べません。

アケビ村では馬レースが開催中です。
勝っても何もありませんが、楽しいです。

この辺りでは経験値が多くもらえるメタルキビダンゴがまれに出現しますが、むちゃくちゃ強いので逃げましょう。

海パンを買っておきましょう。
桃太郎、初めての海です。

海には鬼が襲いに来る用の定期船が出ており、最近では一般にも利用できるようになっています。
平日の早期予約で安くなります。
ただし、ダイヤウルフは客席に乗れないため、「ダイヤウルフ入れ」を手に入れて預ける必要があります。
(トロピカルフルーツ村で「俺は見ちまったんだ!銀色に輝く幻の狼を入れる用の箱を!」という話を聞く。)

船に乗ったら船員の鬼に大将の弱点を聞きましょう。
酒を飲ませるとうれしそうに先週腰を痛めた話とかしてくれます。

鬼ヶ島に着いたら受付をしてください。
大人1200円、ダイヤウルフ600円です。

この際、貴重品は預けておきましょう。
鬼との戦いでお気に入りの財布がボロボロになることがあります。

自分の受付番号が呼ばれるのを待ちましょう。

せっかくなので記念撮影をしましょう。
門の前が人気です。

門をくぐったら、ダイヤウルフのコールドフレアで焼き払いましょう。

めでたしめでたし。


【コメント】 

持っていると村人たちに根拠を聞かれます とか
アケビ村では馬レースが開催中です

とか何気ない文章がめちゃくちゃ面白いし
ネタも攻略チャート風で斬新でした

ただどうしてもネタがショートコントのようなスタイルなので
当たり外れが出てしまうのは仕方がないことなのですが

もう少し当たりの部分が増えてくれば名作と呼ばれる領域までいける可能性のあるネタだと思いました

7点です



木工用ボンド
最初の1行がこの文章でやる事を端的に表してるしめっちゃ面白かったです。桃太郎のあらすじを丁寧な命令形にするだけでこんなに面白いなんて!
ファンタジー感のあるフレーズも程よくて全くだり面白かったです
これもオチがかなり投げやりだったのが残念。でも満点
10点

藍殿TT
良いですね。こういうひたすらツッコミ所しか無い文章。
ボケも、作中でツッコミがなくても読み手でしっかり咀嚼できる絶妙なチョイスでした。
なかなか書こうと思っても書けないものですし、ずっと面白くて良かったです。
いやコイツ「銀色に輝く幻の狼を入れる用の箱」ってよく分かったな!
9点


2-1-6
ようこそ哲夫ワールド

桃太郎

【むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。】

あるところ「砂漠とかじゃないです。水豊かだし。あっ武豊ではないです、水豊かです」

【おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯しに行きました。】

芝「痛い痛い、そんな根元を刈るんじゃないよ!」
おじいさん「離婚したい…」
芝「ストレスをぶつけるんじゃないよ!」
刈られた芝「刈〜ら〜れ〜た〜」
芝「ぬりかべみたいに言うな」

川「どうも、あの有名な川です。名前は」
おばあさん「洗濯終わったらじじいの金でホストクラブ行くワイ」
川「です。みなさんも観光にいらしてみては?」
洗剤「へ〜ここがあの有名な(濁流の音)川か〜。ちょっと入ってみよ。ウィーン」
川「ウィーンってなんだよコンビニかよ。あと洗剤は入っちゃだめ!水質汚濁!」
洗剤「この川はプランクトンが多いな。PH値も異常に高い」
川「水質オタクかよ」

【おばあさんが川で洗濯してくると川上から大きな桃がドンブラコ、ドンブラコと流れてきました。】

川「おっ変なの流れてきた。写メ撮ろ」
大きな木「そんな大きくないのに大きい言ってすみません…」
兆「どうも、国の借金でお馴染み、兆です。私は大きいですね…」
川「なんでそこでバラけたし」
ドンペリ「どんぶらこ〜ハイハイ!どんぶらこ〜ハイハイ!」
川「騙されないぞ!貴様はどんぶらこではなぁい!ホストクラブに帰ってくれ!」
ドンペリ「(パァーーーン!)」

ブラ「どうも、Uカップのブラジャーです。デカ過ぎて手さげ袋みたいですね」
川上(憲伸)「おっ嫁のブラが流れてきた。コレ丸めたら水吸って重心変化するし、すごいカーブかかるんとちゃう?」

【おばあさんは桃を持ち帰り切ってみると中から元気な赤ん坊が出てきました。】

おばあさん「お持ち帰りしちゃった!新しい出会いの予感」
赤ん坊「こんにちは、桃太郎です」
おばあさん「第一声がこんにちはの赤ちゃん…」
赤ん坊「胎児の頃から鬼“退治”したかったんですとかゆーて!」
おばあさん「あ、そ」

中(チュン)「すぐにポンする奴は麻雀初心者。役も少なくなるし。でも成長を見守りたい」

元気「やる気、元気、井脇でお馴染み、元気でーーーす!井脇ってなんだ聞いたこと無いな」

【桃太郎と名付けられた赤ん坊はすくすくと育ちやがて鬼退治へ行くことになりました。】

桃太郎と名付けられた赤ん坊はすくすくと育ちやがて鬼退治へ行くことになりました「本名です。芸名とかじゃなくて」
。「落ちたコンタクトレンズです。僕を見つけて!」
桃太郎と名付けられた赤ん坊はすくすくと育ちやがて鬼退治へ行くことになりました「コンタクトコンタクト…」
。「メガネメガネみたいに言うなよ難易度が違い過ぎるだろ」

【桃太郎はおじいさんとおばあさんに見送られて鬼ヶ島へ出発しました。おばあさんはきびだんごを、おじいさんは家宝の刀を餞別に渡しました。】

鬼「あっまだ登場早いよ〜。新鮮味が無くなっちゃうよ〜」
ヶ「“け”を変換したら出ました」
島「バリ島になりたかった…」

家宝「家宝っちゃ家宝だけど、刀は家宝の中でも下の方」
刀「ガーーーン!あ、いや、刀゛ーーーン!」
家宝「そういうとこもマイナス査定だよ。ちなみにおじいさんの家宝ランキング、第3位は草なぎ剛、第2位は稲垣吾郎、そして第1位は…香取慎吾!唯一これといった不祥事を起こしてないので1位」
おじいさん「解散したての元SMAPを総ざらいじゃ!」
刀「家宝とは」

【道中で犬・猿―雉が「桃太郎さん桃太郎さん、お腰に付けたきびだんごを私にください」と言い寄ってきました。】

桃太郎「動物はやっぱしゃべるとキモいな。鳴くだけで結構!きびだんごをいくつ欲しいのだ?」
犬「1(ワン)」
桃太郎「やかましいわ。いや、振ったこっちも悪いけど」

猿―雉「斬新なデザインのサングラスです。今年の夏こそ売れたい…!」

私「どうも!作者の哲夫です!今回はこんな感じでネタ書きました!こうやってネタ中に作者が登場するのっていいよね?」
ださい「超ださい」
私「そうか…もう通用しないのか哲夫の小手先テクニック…」

【お供をしたがえ桃太郎一行はついに鬼ヶ島へ到着しました。中からワイワイと騒ぎ声が聞こえてきます。】

鬼「がっはっは、鬼だぞ」
ヶ「“け”を変換したら出ました」
島「バリ島になりたかった…」
鬼「基本、ヶと島は同じことを言うぞ。この台詞しか与えられていないんだ。やっぱ新鮮味が無くなった…」

中(チュン)「よし、2枚目ツモったぞ!」

ワイワイ「ワイワイ改めエリック・ワイワイナです。ケニアから走ってきました。日本食は味気無いですね、やっぱインパラの丸焼きが一番!」

【桃太郎たちは隙を見て鬼たちに襲い掛かります。鬼たちは為す術もなく降参するのでした。】

桃太郎たちは隙を見て鬼たちに襲い掛かります。鬼たちは為す術もなく降参するのでした「こういう名前です。昨日結婚して、山田降参するのでした、と苗字が変わりました」
。「ボウリングの球です。ボウリング好きな降参するのでした君にプレゼントされたよ」
山田降参するのでした「お前小さくない?コンタクトレンズかと思ったよ」
。「球に指穴を開けるとき何度も失敗してたらこうなったみたいです」
桃太郎と名付けられた赤ん坊はすくすくと育ちやがて鬼退治へ行くことになりました「すまない、降参するのでした君…でもこれは気持ちとして受け取ってくれ」
山田降参するのでした「た君………どうもありがとう!受け取っておくよ」
。「エグい苗字だな、桃太郎と名付けられた赤ん坊はすくすくと育ちやがて鬼退治へ行くことになりまし、って…」

【鬼たちは許しを乞い金銀財宝を進呈しました。桃太郎たちは受領するとおじいさんとおばあさんの待つモモランドへ帰るのでした。】

財宝「焼酎の方の財宝です。東京ドームの看板でおなじみの」
銀「楽天イーグルスの銀次です!来シーズンこそ優勝して本当に値引きしてるのかわからない楽天スーパーセールを開催します!今季は鬼に捕まってあまり試合に出場できませんでした…」
金「楽天イーグルスの金欠です!通常価格を倍に設定したうえで半額セールします!」

つモ「ツモォォォッ!小三元ドラ1億!」
中(チュン)「どうやら残りの2枚は握られてたようだね。ドラ1億?????」

モモランド「モ・モ・モモランド!」
おじいさん「ドリランドみたいに言うな」

【おじいさんとおばあさんと桃太郎は持ち帰った財宝で幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。】

兆太郎「財宝を手に入れたし兆太郎に改名するよ。木は切り倒したよ。小川にちょうどいい橋が架かったし次、桃が流れてきても取りこぼさずに済む」

めでたおじいさん「目が〜〜〜目が飛び出してもうた〜〜〜!これはこれでウケるが何も見えん〜〜〜!みんなの笑顔が見えん〜〜〜!」
めでたおばあさん「こんな目じゃ世界仰天ニュースで取り上げられてしまう〜〜〜!ギャラに仰天してしまう〜〜〜!」
し、「死です。こんなところで区切らなければ我々は誕生しなかった」
し。「死です。数字で言うなら4」

幸せ「どっか他のところ行くか」



【コメント】

2行目で笑ってしまった自分が悔しい
好き放題やっていていいと思います

こういうネタにはあんまりあーだこーだ言っても仕方がない気もしますし
でも君ならもっとバカバカしく暴走できるはずさ

6点です



木工用ボンド
怒涛の擬人化!まさに哲夫ワールド全開だったと思います
全行くだらなさのパラメータMAXで最高でした
10点

藍殿TT
ボケ方とか視点は独特で好きなんですが、ちょっと伝わりにくい内容でしたかね。
本文のどこをイジってきてるのかも微妙にわかりにくくテンポにも影響してきて勿体無く感じました。
じっくりじっくり読んでいくと、あぁココ面白いなとかいっぱいあるんですけど、もう少し楽に伝わってくると良かったです。
6点




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